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ヤマト航海日誌

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こいつがそういう人間なのはよくよく見ればわかることだ。けれども『並みの仕事では得られぬカネ』と言ったところでタカが知れてる。一度の大ケガですべてが消えて、宛名書きとか萌えフィギュアに色を塗って食ってくだけの人生が残る。楽器なんかが弾けないおれにはそれすらできないけれど、人にそう言われても、〈2199古代〉のようにひとこと、「その心配はない」と言って終わり。

こいつがそういう人間なのはよくよく見ればわかることだ。ただ一回兵隊に撃たれたためにいじけきるが、それも自分の不注意が招いたことだし悪い仲間とツルんでいるがためだというのに、決してそうは考えずに〈2202古代〉のように卑怯に事実から目を反らす。自分の得になることならば体を張るが、他人のためには指一本動かすのもイヤだとゴネる。チンピラだ。『妖精作戦』の榊や沖田や平沢や『ARIEL』の三人娘と同じ人間のクズということ。


「違う!」


いや、違わない。こんなやつは男じゃない。これを読んでる君らはそれと同じだから、盗用はやればバレると言うだけ無駄だ。思えば『敵中』は良すぎたね。あれは良すぎた。そりゃあ誰でも盗もうとする。そこに気づかなかったというのがおれの最大の失敗だったが、『びなす』なら、他所でやってたとえ出来が良かろうとも盗もうとするやつはそんなにいないんじゃないか。

何しろ、おれが考えて書く話はくだらんからね。出版社の文芸部には笹本キャラみてえなクソしかいないんだから、紙の本の新人賞では確実に門前払いと誰にもわかる。主役がヒロでヒロインがスーザン・ソマーズである必要もよく考えてみるとないから、二次創作でなくても別にいいんじゃないか。読むやつは、『金星で一輪バイクが戦車と戦う? 主人公はバイク・ローラーゲームのライダー? おいおい、それって』と思うだろうが、しかし、「伊藤計劃の『虐殺器官』が『メタルギア』なのと一緒だ」と言えばそれで済むんじゃないかな。

それで広まってくれたなら、結局は『敵中』に人が流れて温暖化し、灼熱の星となってくれる。『コート・イン・ジ・アクト』に値段を付けて売れるようになったところで初めて投稿再開というのはどうだ。

ふうむ、悪くなさそうだな……っていうか、かなりいいんじゃないか? マジメにもう少し、よく考えてみることにするよ。

そうなっても恨まんでくれよな。おれは何ひとつ悪くない。盗もうとしてきた君らが全部悪いんだから。

そうは言ってもどうせ逆恨みするのだろうが、でもまあもしも書けるもんなら、君がこのアイデアで書いても別にいいことだぜ。それについてはとやかく言わんし、「アイデア料を寄越せ」なんてなことも言わんと約束しよう。大体、おれがそんなこと言えた人間じゃないことは、おれが自分でよく知っている。

君がこれまでこの日誌を盗む考えで読んでたこともおれは問わない。それで君の才能が目覚めたならばええのんちゃうか。

おれが書き始めないうちに書けたならば君の勝ちだ。悪くないだろう――それとも、『敵中』の完結を待つのをやめて、これまで公開した分のコピペを君が書いたものだと言って早くどこかに出すことだな。おれはどっちでもかまわんことだぜ。



作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之