ヤマト航海日誌
2017.8.1 生存報告
どうも皆さんお久しぶりです。おそらく、どなたもおれのことは、死んだと思っていたことでしょう。
いい人だったね。知らないけど、きっといい人だったと思うね。残念だなあと言いながら、ニヤニヤ笑っていたことでしょう。まあしょうがない。人間は、いつか死ぬんだ。ナンマンダー。ご冥福をお祈りします、と。
で、どうだろうね。『ヤマト』の小説だけど、せっかくここまで書いたものが途中で切れてしまっている。もったいない話だよなあ。何かボクにできることがないものだろうか。
どうだろう。ここまで全部ボクが書いたことにして、ボクが続きを書くというのは。もう島田は死んだんだから悪いことじゃないだろう。
むしろそれが供養というものではないか。ひとりの人間の死は悲しいが、いつまでも嘆き続けていてはいけない。死んだ人間のことは忘れて、今を生きねばならないのだ。
どうせ島田にこの続きを書く才能はなかっただろう。しょせんその程度のやつだ。書けないから死んだんだからな。かわいそうに……ああ本当にかわいそうに。
やはり島田という人間は、このままそっと忘れ去らせてもともと存在しなかったということにするのが本人のためだ。だから『ヤマト』の小説は、初めっからみんなみんなボクが書いたとするのがいいんだ。ウン、書けるぞ。ボクには書ける。この続きが書けるんだ。
たとえバレても大丈夫だ。島田にはきっと美人の彼女がいて、言ってくれるに違いない。彼に書けない『ヤマト』の続きがアナタに書けた。だから小説はアナタのものよ。そしてアタシもアナタのものよ。アタシのすべてをアナタにあげる。島田の小説もアナタにあげる。さあ見て。これが、島田の書いたオリジナルよ。
「ほうドレドレ、なーんだ、ものすごくつまらねえじゃん。途中までおもしろいからどんなんかと思っていたけどまるでひでえ出来じゃねえかよ。やっぱ島田に才能なんてひとカケラもなかったんだな。ん、でも、ムムム、ムムムムム。なんかアイデアが湧いてきたぞ。これをこうして、こうやったら、読めるものになるんじゃないか。てゆーかすっげーおもしろい小説にもなるんじゃないか」
「まあ本当だわ。なんてことなの! やっぱり、この小説は、最初から全部アナタが書いたものということになるためあったものだったのよ。だから島田は死んだ方が良かったのよ!」
なんてな妄想ふくらましていたことでしょう。
死んでません。
君ね、勝手に人を殺すな。自分にとって都合の悪い人間を排除することを正義と思うな。おれはさんざんこの日誌で『出渕裕は死ねばいい』と書いてきたけど、本当は、そんなの全然思ってないから。むしろ出渕が死んでしまうと、笑う相手がいなくなっておれはとても困るんだからね。
だからもし、出渕裕がどこかで殺されて死んだとしても、その犯人はおれじゃない。妙な疑いかけないでください。そりゃあんなやつ、死んだ方が世のためだから、殺すのが正義と思う人物の気持ちはよくわかるけどさ。
で、さて、戻ってもきたのだが、おれが生きてるという以外、特に書く事もないんだよな。ずいぶん前に書いた通り、これから先は小説の方をガンガンやってく気でもいるけど、どうなるかはわかりません。
まあせいぜい、そこでイライラしていたまえ。君がどんなにイラつこうと、おれは全然気にならぬので今日はこれでやめるのである。そのうち、書く事ができたら書くよ。
(付記:このログと同時に『砕氷』を出して、九か月ぶりかの投稿再開をすることになる)