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父と娘、時々息子

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 それがいたたまれず、聞けない上に止めてほしいとまで来たら、親の心に少し似ているのでは・・・。
 そういう風に私は今、思っている。
 だから、何度も父は大丈夫だろうかと考え過ぎて、5回中3度は会話を飲み込むのだが、いつも父は私が考えていることをこの時だけは聞いてくれた。
 その話はいつも順番がある。
 親である以上、子より先に行くが本来の摂理であるため、父がもし脳死状態、また亡くなったらどうして欲しいかから始まって、私が遺された立場になったとき、父の望みでも譲れないもの、反対に私が親不孝をしてしまうこととなったときに私が望むこと、父が見送る立場になったとき、私でも譲れないことという順だ。
 
 二人とも遺して逝く立場になったときの望みとして共通していたことは、脳死または機能不全で呼吸が止まった場合の延命はしない事。体につなぐのは心電図と点滴だけにしてほしいというところだった。
 理由まで同じで、呼吸器につながれたら人間じゃなくなる気がしてなんらんので、人形にしてくれるなと。
 それに何より、苦しい思いをしているのかもしれないし、意識だけは生きているのかもしれない・・・。
 でも、元々自由にのびのびと活発な私たち親子は、動けないことがすでに苦痛になるのが目に見えている。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.