父と娘、時々息子
14・旅で見える関係-親と子
私たち親子が一番変わっていると言われる要因、それはお互いが、もしも事故や病気で死に直面した時、どうしてほしいかを常に話し合って、互いの要求を知っていたことにある。
この時は二人とも、考え方が全く同じといえるほど似かよっていた。
脳死状態になったら保険証裏の通りにしてくれ、通夜、葬式は出すな。家族や近しい人だけであとは知らせなくていい。送り出す時に自分自身が好きな曲をかけて、酒盛りでもしてれ。
ただ一つ、父が叶えられなかったことは、高齢者故ドナー適正年齢からすでに外れていることだった。その為、考える以前の問題だ。
私たちがこのことを話しているときに父は「俺も若かったら全く同じ考え方してる。考え方はホンマ、可愛ないなぁ。」と、ケタケタ笑っていた。
父は照れくさくなるとケタケタ笑って誤魔化す癖がある。
やはり、子供が自分に似ていると嬉しさと同時に照れくさいものなのだろうか・・・。
亡くなった後の金銭の動きの話しは、本当に私は耐えがたく、あまりにしつこいとよく父と大喧嘩してでもその話をやめてしまいたくなるが、もし互いが互いの死か延命を左右することになったとき、また死に直面した時にどうしてほしいかを話すことは苦ではなかった。
自分でもその差が実のところよくわからないのだが、そのことはずっと話していた。