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父と娘、時々息子

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 私がいつもながやりにくくしていると、ママが近づいてきて「先生はよく近所で良い旦那さんで通ってるけど、みんな本性知らんからそんなこと言えるんよ!こんなやりにくい人やて知らなすぎ!てようこぼしてたよ。」と教えてくれた。
 母も同じことで苛立っていたようだ。

 また違う機会の時に聞かせてくれた話は、父と母がなぜ6年も付き合っていて結婚できずにいたのかだった。
 父にはいろいろ事情がありずっと結婚は先延ばしになっていた。
 それもこれも、前の嫁に翻弄され、離婚届がずっと出されていない状況が続き、ずっと6年も引きずられてしまう。
 その間に母は年齢的な限界を感じ、母の故郷で最後の旅行と決めていたようだ。
 当時は30までに結婚しているのが当たり前で、25を過ぎるとみんな焦りだすのは今でも同じだが、深刻度はだいぶ深かったに違いない。
 だからこそ母は焦らずにはいられなかったのもあるのだろうし、30過ぎてからの出産は既に高齢出産と言われた時代。
 そこをひしひしと感じて、母は限界点を決めてしまったのであろう。
 父といえば6年も引きずられた離婚がやっと受理されて、プロポーズをすると固く決めて母の故郷へ乗り込んだ。
 母も父もだいぶお互いに揺れて、人に揺さぶられしながら夫婦になったようだ。
 父の話では、母も我慢強くいてくれたらしいが、ある時に噴出して一人で泣いていたことがあったらしい。父が電話をして涙声だったのを聞いたという。
 
作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.