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父と娘、時々息子

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08・憂いか、兆しか…



 私の母親への摺り寄せが始まってから、我が家では疑問に思うことが起きるようになった。
 父の留守を狙い、中年のおばさんが訪ねてくるようになる。
 私は頑として家の中には招かず、笑顔はキープしたまま、警戒し、対応していたが、疑問と気持ち悪さは今までに味わったことのない程強いものだった。
 そのおばさんは、私の家にどう絡んでいるのか知らないが、私の事を「お姉ちゃんのほう?」と聞いたり、「大きくなったんやねぇ」と言ってみたり、兎角怪しい人だった。
 その頃から父が電話の対応で感情的になることが多くなる。
 電話口で怒鳴ったり、消沈したり、嘆いたり…。
 始めのうちは父のお客さん、仕事の仲間だと思っていたが2〜3カ月に一度、それも父のいない金曜を狙って来ているように思えた。
 その時に気づいたのが、父の関係者だが、父に会いに来たのではなく、私達の家の現状を見に来ているということだった。
 初めて会ってから間もない人間が、あまりに家の中のことを軽くとはいえど、的確な場所を濁すことなく、深いところをついて聞いてくるのは変の一言に尽きる。
 その中年の女性は私の母が亡くなったことは知っており、私と弟のことも知っていたが、近況のことを彼女は知らない様子で、そのことを聞きたかったようだ。
 彼女は何のためらいもせず、私に聞いた。
「お父さんは再婚されたの?」
 なんでそんなことを見ず知らずのおばさんに言わにゃならんのよ、と不快に感じ、その質問をなぜあなたに答えなければいかんのかと表情で突っぱねた。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.