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父と娘、時々息子

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 そう、大人になってからはそれらの印象が柔らかいだけで、大元は残念ながら変わっていない。
 度々父も冷静さを欠き、作った食事の入った皿を、弟に当たらない場所を計って投げつけ、私のお気に入りだった食器もいくつか天へ召された・・・。
 父がそうなると誰も反発できなくなる。
 父、昭和一桁生まれ、父の天下、自分の言うことが絶対ではないが、大概のことは自分は間違ってはないから着いてきなさい。そんな性分の年代に生まれた人は本当にややこしい。
 強引なやり方はしなかったが、気付くと父の良いようにされた後になっていることが多い。
 どんなに自由気まま、自分好き勝手な弟でもそういうときの父には逆らえなかった。
 さて、父も父だったりする。
 この時は父の食事当番で、夕飯が出来上がり、食事の時間だと呼んでも食卓に着かず、ゲームに打ち込んだまま、父の声を無視していて起きた投げつけ事件なのだ。
 その事件の前、私の食事当番の日にまったく同じことが起き、私が怒り狂い、弟の部屋に乗り込んでいった時の父の言葉が今でも忘れられない。
「そんなことでいちいちイラつかんでもええやんか。食べたいときに来るから。修業が足らんなぁ。」
 蓋を開けてみれば、父も同じところで苛立ち事件を起こしている。
 それ以来、私は弟に対して、諦めるというコマンドを作った。
 その理由は私が神経症になってしまったからだ。
 ストレスのためすぎで、感情のコントロールを失い、自分の中だけに苛立ちを収めはじめ、元々公害で年中鼻炎を抱えていたのが悪化し、頭痛と内耳異常で平衡感覚が吹っ飛んでしまう症状が出てきたのだ。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.