鉄の馬で日本を駆けろ!
コラム 2 「あいさつ」
北海道をバイクで走ったことのある人はおそらく経験されておられるかと思いますが、北海道をバイクで走ると対向から走ってくる単車乗りの人とあいさつをするのです。車種、排気量、ライダーの性別年齢関係なしにあいさつを交わします。
これが好きで北海道を辞められない方は多くいます。広い広い北海道で時折すれ違うバイク、多くの場合遠くから走ってくるのが見えるのです。でも通り過ぎるのはほんの一瞬。その一瞬に手を上げるなりしてあいさつを交わしていくのです。もちろん相手はどんな人かわかりませんし、行く方向は逆ですのでその人に会うこともおそらくないと思います。これがとても気持ちのいいものなのです。
さらに、単車だけでなく自転車乗り(通称チャリダー)の皆さんも数多く走っておりましてチャリダーの皆さんにも同じようにあいさつを交わすのです。対向からくるのはもちろんですが、自転車対単車ですから左車線を走るチャリダーを追い抜きざまに手を振るなんてのもあります。
大概のライダーは左手を上げてあいさつをします。というのも、右手はスロットルを握るわけですから手を離してしまうとスピードが下がってしまいます。本来なら道路は左側通行ですので、右手であいさつをしたほうが対向車にとっては見映えがいいのですが、これはどうにもなりません。今回はおよそ一週間北海道を走り回りましたが、あいさつをしてくれた方はだいたい左手をあげたり、敬礼したりするのが多数でした。
しかし、北海道はただ広いのです。視界がべらぼうに広く都市間を走っている時の道路ははっきり言ってなーんもないのです。ということは、前方に単車を認めたら急加速するライダーも多くいるんですよ。なぜかといいますと、その手のライダーたちはあいさつすることに喜びを感じるあまりすれ違いざまに
両手を使ってあいさつをする
んです。たとえば、単車乗りだけに「仮面ライダー」の変身ポーズをする人や、両手先をアタマにしてサルのポーズをする人なんてのもいました。視界の広い、しかも直線が長い北海道の道路ならではのポーズです。本当は危ないのでやっちゃダメなんですよ。でも旅の勢いみたいなもので、みると面白いしなんだかホッコリしました。
そして私はどうしてたか?といいますと。最初は片手だけであいさつしてましたが、「両手離し」を見てからというものの、以後は両手を真横に広げて「飛行機」のポーズをしていました。「ちょっと笑わせたろか」と考えるのは関西人の悲しい性なんですかね……。
* * *
さて、日本最北端に到達し、師匠である藤井さんとも別れ一人旅に戻ってしまったワタクシ。本州に戻り次は沖縄を目指して南下します。道中どんなものが待っているのでしょうか……。
作品名:鉄の馬で日本を駆けろ! 作家名:八馬八朔