鉄の馬で日本を駆けろ!
八月一日 ひとまずのゴール
羽幌のライダーハウスを発ち、僕たちはニッポンの最北端に向けて残り少ない距離を走り出した。留萌を越え、天塩にまでたどり着くとあとは最北端の町・稚内だ。
そして僕たちは道道106号線、通称オロロンラインに入った。左手に日本海、右手にほとんど整備がされていないどこまでも続く北の大地。そして道路は、およそ50キロの延々と続く直線道路だ。信号も、分かれ道も、標識もない。ただまっすぐに、北へ。その先は稚内に向けて地平線の如く延びている。
オロロンラインのゴールちょっと手前、Nの字をもじった碑が立っている。北緯45道の緯線だ。
ここから先は赤道よりも北極の方が近くなるという事だ。ニッポンは案外大きく広がっている国だとと思うひとときである。北海道のほぼ北端、数字にして100キロにも満たない部分だけが、北緯45度を越える地域にあるということに何とも感慨深い。
ゴールまであと少しだ!
それから程なくして最北端の町・稚内に到着、ノシャップ岬を越えて一先ずの最初の目的地、宗谷岬に到達した。目の前に見えるのは、
日本最北端の碑
兵庫県を出てちょうど十日目、やっとたどり着いた最初のゴール。ここへ来た人たちはこぞって記念撮影をしている。みんな達成感でいい顔している。
碑の向こうには樺太が見えるとのことだが生憎曇天で見えなかったが、それでも僕は単車でここまで来れたという達成感に浸っていたかった。ヘタレな学生でもできるのだ。
小高い丘に登り、各姉妹都市への方角と距離を示した道しるべを見つけた。
次なる目的地はそう、沖縄だ――
稚内の姉妹都市、石垣市までは約2800キロ!一つのゴールに到達した僕は、これまでよりもさらに長い長いゴールに向けて出発する決意を新たにした。
気を取り直して出発、目的地は取りあえず「南」だ。僕たちは単車をオホーツク海沿いに東へ走らせ、陽がくれる前に見つけた紋別のライダーハウスで今日の旅を終えることにした。
ライダーハウスで地図を広げ、次なる方向性を決める。北海道を出るのにもフェリーが必要となる。この時期フェリーは混雑するので(単車を乗せるスペースが多くない)事前に予約する事が賢明である。そこで日程と照らし合わせて取ったフェリーが、
8月4日午後11時50分 室蘭発の青森行
だった。これはすなわち僕の北海道ツーリングのゴールを決めたということだ。三日後の夜までには室蘭へ行き北海道を離れる――。少し寂しい気持ちもあるが、先は長いのだ。前に進まなければならないのです。
作品名:鉄の馬で日本を駆けろ! 作家名:八馬八朔