鉄の馬で日本を駆けろ!
コラム 1 「旅の準備」
本文ではあてもない旅に出たようなことを書いていますが、実はある程度は準備をしています。と言ってしまうとアレなんですが、旅に出るまでにとった準備について少し紹介します。
まずは単車そのもの。ルートにもよりますが日本を一周すると打算で250㎞/日の30日で7500キロくらいは走ることになります。単車も当然消耗する部分は消耗します。
そこで私は、事前にタイヤを変えました。ツーリング仕様の中央が固めのものを履かせました。単車は車体を傾けて曲がるものですのでタイヤの縁を使うのです。ツーリングになると曲がる回数は減るので中央が丈夫なものの方が長持ちします。
オイルは行く先々で交換しました。そしてチェーンです。単車は自転車と同じでチェーンで動力を伝えます(一部の単車は車と同じシャフトで伝えるものもあります)。距離が長くなるとチェーンも伸びて弛んできます、熱を持つと当然チェーンも伸びます。これも事前に固めに調整しました。
それと、ヘルメットです。
ヘルメットは単車を運転するのに当然必要です。新品を用意する必要はありませんが、ここであると便利なのがシールドのフィルムです。旅の道は町中だけではありません。田舎道、高速道路、夜行もあります。田舎道では特に虫が飛び交って度々ヘルメットに衝突します。これがけっこう痛いのです。というのもこれは虫の飛ぶスピードよりも単車の方が速いためでよくあることです。シールドに当たるとシールドが傷ついて視界が悪くなります。そこでシールドにフィルムを貼って度々交換しもって旅を進めました。
次に、携行品です。まずは道路地図、堂々の全国版。持っていった地図はこれのみでした。あとは現地で何とかしようという作戦で、大きく道を逸れることはありませんでした。
ラジオは持っていきましたが、受信局がコロコロ変わってしまうのでこれはダメでした。
次にハイウェイカード。30000円のを買えば32500円分使えるものです。当時はETCなんてものはなかったので、これは重宝しました。時代の流れか、ハイウェイカードは不正使用が酷くその後廃止されてしまいましたね。
それから持っていったのはテントと寝袋。どこで寝るのか全く決めていないので、当然必要です。テント寝袋種類も様々ですが、近所のスポーツ店で一番安いものを買って積み込みました。物語第一章が終わった時点で寝袋は使用せず、テントも北海道に着いた初日で初めて使いました。テントはスペース確保できますが設置が簡単ではありません。寝袋は簡単に使えますが、この時期とても暑いのです。
あとは、これを言っていいのかどうか考えますが「余計な準備はしないこと」です。
旅はまだまだ続きますが、予定通りには行きません。でも、そこで困ったりせずに「まあ、ええか」くらいの気持ちで前に進むことが旅には必要なんじゃないかなと思います。
* * *
次は北海道です。北の大地にはどんな出会いやドラマがあるのでしょうか……。
作品名:鉄の馬で日本を駆けろ! 作家名:八馬八朔