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秋月かのん
秋月かのん
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第1章  10話   『ボーイミーツガール??』

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「何の頂点を目指してるか知らんが、そんなもん目指す前に社会性を身につけるのが先だろうが馬鹿者。いくらお前が何を言おうとも社会性ゼロの人間に俺にでかい口を叩けるわけないし、誰がそんな馬鹿なことに耳を傾けるかっての」

「う…うるさいな!春斗のくせにッ!もう怒った…怒りのゲージMAXだぁッ!!ボルテージオーバーヒートだぁ!!ぶっ飛ばしてやる~」

かえでは俺に言い返せないのをいいことに力技でねじ伏せようと俺に向かってくる。
…って結局こうなるのか。

俺は向かってくるかえでに対し身構える。-だが

-ズドオォォォン!!!

茜のインパルスキャノンが凄まじい勢いで炸裂した。
相変わらず凄い威力だぜ。ホントにお前女か?って疑いたくなるぜ。

「お前らいい加減にしろ!!そろそろ黙らせるぞ!!あたしもか弱い乙女なんだから無闇やたらに手を下したくないんだわー察しろよ??」

澄ました顔でやれやれと嘆息する茜。

いや、もうお前のおかげで黙らされてるんだけども…??
つーかこんなバカ力なか弱い乙女がいるかッ!!!
かえでも同じ思いで俺に目を配らせる。

「『あたし』ら腹減ってんだから馬鹿なことしてないで昼飯にしようぜ!時間もそんなにないんだしさ!」

茜はあまりの空腹だったのかいつも以上の怒りを見せていた。…でも、それ…。

「茜…。ねぇ…一体誰を殴ろうとしてたの?」

俺も疑問に思い訊きたいと思っていたことをかえでが茜に訊ねる。

「誰って…お前らを…ってあれ?」

「あたしはこの通り無事なんだけど…」

「え?でも、それじゃ…あたしは誰を?」

「あれ見てみろ」

俺は教室の入り口の方を指差す。そして、茜はゆっくりとその方向に目を向ける。
そこには、白眼を向いて生気のない人形のようにのびている暁の姿があった。
…あぁ痛そうだ。ドアも軽くぶっ壊れてるし。

「あ…暁さんが…泡吹いてます。大丈夫なんでしょうか?!」

「それに、その後ろのドアと一緒に…。これはちょっと…」

「あはははは。…さぁて昼飯にしようぜ~春斗もかえでも早く来いよ~」

「「ほ…放置ッ?!」」

茜のまるで何もなかったような対応に俺とかえでは同時に声を上げていた。

「だって暁だろ?別に大丈夫だって。ほら、気持ちよさそうにぐっすりと寝てるじゃない」

「「寝てないから!あれはどう見ても気絶してるし!」」

「似たようなもんだって。ほら、飯にするぞ~早く来いよ~」

何つーか…暁…哀れだな。後でちゃんと保健室に運んでやるからな。…待ってろよ~。
そして、俺たちは何だかんだで昼休みを楽しんで過ごしたのであった。


(………)


「って待ていッ!!結局のとこ俺のこと忘れてるだろがッ!何勝手に綺麗にまとめてやがんだよォッ!何が俺たちは何だかんだで昼休みを楽しんで過ごしただぁッ!!思いっきり俺のことを忘れてる証拠じゃねぇかよ!!」

「つーか何だよこの俺の役回りはよッ!!毎度毎度あんまりじゃねぇかよ!!俺をオチに使うんじゃねぇッ!!!これじゃただのやられ損じゃねぇか!!!っていうか茜ッ!!ぶん殴っておいて何が『気持ちよさそうに寝てるじゃない??』だッ!!それにみんなも!!まったく俺への愛が足らんぞ」

「って照明落とすなよ!って何だお前らは!何をする…ってうわああぁぁぁああああぁ!!」

そして、やはり暁の断末魔がこだまするのだった。




<1章=如月ヒカリがこんなに萌えキャラなわけがない>


「ふぁ~。やっと今日も終わったぜ」

ようやく午後の授業も終わり、俺は大きく伸びをしながらどでかい欠伸をする。

「おうおう~またでっかい欠伸だな~」

「やっと1日が終わった~と思うと気が抜けてな。ホント眠いぜ~」

「だらしね~な。もっとシャキっとしろよ。…まぁ、午後の授業に入ってからずっと寝てるかえでに比べればまだマシだな」

「かえでと比べられても全然嬉しくねぇよ」

俺はチラリと隣のかえでを見てみる。

「ぐがぁーーー。ぐごぉーーー」

かえでは大きないびきをかきながら、机に突っ伏していた。
…とても女の子がするようなことじゃないよな。もっと女らしくしてみろよ。
もしかしたら、お前にも需要があるかもよ。

「まぁ、それはいいとして、そろそろ起こしてやった方がいいかもな。もうすぐHRだからな」

「そうだな。んじゃ起こすか~。おい、起きろーかえで!春斗が好きなもん何でも買ってくれるってさ」

「んがぁッ!!ホントかい?!春斗!!…何でも…好きなもん何でも☆」

かえではぱっと机から顔を上げると、目をキラキラと輝かせて自分の世界に入っているようだった。…ってちょっと待て。

「って買わないからッ!!茜ッ!変な起こし方すんなぁッ!!」

まったく何て起こし方しやがるんだ。いくらかえでの寝起きが悪いっていったってもう少し他の起こし方あるだろうが。こいつの場合自分の利益になることは常に本気にするから危険なんだからよ。

「ん~何だ嘘だったのか。じゃ、おやすみ、ぐがぁー」

そして、再び机に突っ伏すかえで。

「って寝るの早ッ!つーか寝るなッ!いくら自分に不利益だとわかってもよ~」

「ん~。だってさ~普通はさ自分の利益になることしか興味ないでしょみんな☆そして、あたしもそれを心がけているんだよ」

全然普通じゃねぇよ。そんなヤツはどの世界探してもお前とどこぞの悪の組織だけだ。
こいつの将来がホント気になってきたぜ。

「かえでらしいな。まぁ、まだ眠いなら顔洗ってこいよ。すっきりするぞ」

「ん~そうだネ☆じゃちょっと顔洗ってきますかね~」

「お~行ってこい行ってこい。ついでに頭も冷やしてこいよ」

「何か引っ掛かる言葉が耳に届いたんだけど~まぁいいや。じゃ行ってくる~☆」

かえでは席からゆっくりと立ち上がるとトコトコ歩いて教室の外の水道まで歩いていった。

「何か馬鹿なかえでの相手してたらどっと余計に疲れたぜ」

俺は首をコキコキと鳴らし、肩をぽんぽんと叩く。

「まぁそう言うなって。それでも一応幼馴染だろうがよ」

「…まぁそうなんだけどな」

でも……ねぇ?

「あははは。まぁ、かえでは他のヤツと比べたらちょっと特殊なタイプだ。けど、あたしらだけは見放さないでやろうぜ」

「…極力善処してみるさ」

…昔はあんなんじゃなかったのにな。

「んじゃ、あたしも顔洗ってくるわ。今日ちょいと暑いからな。顔でも洗って涼んでくるよ」

「いってら~。俺はHRまで寝てるわ…ふぁぁぁ。もうマジ限界なんでな」

「まったくだらしがねーな。かえでに人のこと言えないぞ、それじゃ」

茜は、腰に手を当てながら呆れた表情で俺の方を見つめていた。

「…そうだな。それじゃさっきのは撤回するわ」

「って早っ!意志弱っ!いくらなんでももっと男としてのプライドってもんを持てよ」

「…いいか茜。プライドってもんは確かに必要なのかもしれない。だけどな、プライドっていうのは時には邪魔になるもんなんだよ」

「またわけのわからないこと言って…。まぁいいか、それじゃ、あたしも顔洗ってくるよ」

「おう。帰ってきたら起こしてくれな」