農薬の話
1.農薬とは何か
数年前に「特定農薬」についての議論が巻き起こり、「酢や牛乳は農薬か」が争われたことがある。農水省は「病害虫の防除を目的として使用する全ての資材は農薬である。しかし、酢や牛乳などは日常的に摂取して安全が確認された資材であるから『特定農薬』として農薬取締法の対象から除外する」とした。
すると、農業者が農薬の害を恐れて食酢(殺菌作用がある)を使った場合、「無農薬」ではなくなる。反農薬派は「何でそこまで農薬の定義を広げるのか。かえって農薬の問題がわかりにくくなるだけではないか。」と反対した。「あなた達は反農薬というけれど、酢や牛乳も使うなということか」と聞かれたらいちいち、「いや、それはですね・・・」、なんだか言い訳みたいに説明しないといけなくなる。
署名運動までやった反農薬派の意見はいつものように無視され、私もこの文章を書くにあたって次のようなお断りを書かなくてはならない。
【お断り】以下この文章で「農薬」とは「化学合成農薬」のことを指します。
農薬(化学合成農薬)には殺菌剤・殺虫剤・除草剤・その他がある。その他にはホルモン剤(着果・種なしスイカの栽培などに用いる)・展着剤(農薬散布の際に混用し、落ちにくくする)などいろいろな種類がある。