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氏本 誠志郎の不思議な絵巻

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清隆「勘違い?」

誠志郎「左様」

誠志郎「本来、妖かしと言うのは人から生まれる者」

清隆「人から?」

誠志郎「人の思い込みからというのが正しいでしょうな」

清隆「では、今回の流行病もその思い込みが原因と申すのか?」

誠志郎「無きにあらず」

誠志郎「要は、思い込みです」

清隆「病は気から・・・と申したいのか」

誠志郎「左様」

清隆「では主は思い込みで人が死ぬとでも申したいのか」

誠志郎「思い込みと言うものは馬鹿には出来ない物です」

清隆「・・・・」

誠志郎「本来この地は龍神がその身を休める地」

誠志郎「その地を切り開いたのです。後ろ暗さもあったのでしょう」

清隆「後ろ暗さから来る思い込みと言うものか・・・」

清隆「確かに一理あるだろう。しかし、それはこの地を切り開く時に携わっている若い者や、昔から住んでいる者達なら筋は通る」

誠志郎「でしょう?一連の事件に筋が通るではありませんか」

清隆「では、何故この地で生まれた子までこの流行病に掛かるのだ?」

清隆「子供達は、この地が龍神が身を休める場所だということを、知らない者の方が多いのでは無いか?」

清隆「神もまた人の手によって作られた者ではないのか?」

誠志郎「・・・」

清隆「そちの話を鵜呑みにすると、結局この流行病は妖かしや魑魅魍魎のせいになってはしまわないか?」

清隆「また思い込みという言葉で、この流行病に説明が付くので有るならば、同じ思い込みでこの流行病を終わらせることも可能なのでは?」

清隆「それに思い込みを利用するというのであれば、やはり主には力を貸していただきたい」

誠志郎「それなら清隆様、貴方様が適任でしょう」

誠志郎「貴方はこの国の貴族だ。私が言うより貴方様の方が民も信じることでしょう」

清隆「
誠志郎「・・・ほう、少しは頭が回るようだな」

清隆「・・・っは?」

誠志郎「清隆様、どうかお許し頂きたい」

清隆「試したのか?」

誠志郎「ご無礼承知の上で」

清隆「なぜ私は試されたのだ?」

誠志郎「私がお力添えするに値すかどうかのため」

清隆「で、どうだったのだ?」

誠志郎「今回の件は私も心痛めております」

清隆「では」

誠志郎「はい、微力ながらもお力添えさせて頂きましょう」

そう言って誠志郎は手を差し出す
この行為にどのような意味があるのか私は知らないが、其の手を力強く握った

続く