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萌葱色に染まった心 3

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「……志穂……。すまない。だけど、せっかくここまで来たんだ。今さら引き返すよりも、捜した方がはるかに早い。オレの体のことはいいから……だから、アジトを探そうぜ」
「何で徹が謝るの? 謝るのはこっちの方よ。ずっと助けてもらってばかりだし。もとはといえば、あたしが巻き込んだんだから」
 志穂は肩を振るわせた。
「お前、泣いてるのか?」
「……泣いてなんか……」
 否定する志穂の声はいつものような気丈さがなかった。
「巻き込んだ上にいろいろと手伝わせて、ケガまでさせて……」
「……気にするな」
「でも……」
「いいから気にするな。だいたいな、助けたのは俺の勝手だし、ケガしたのも俺の不注意。お前が気にする必要は全然ない」
「……」
「いいから、俺が気にするなって言ってんだから、気にするな。それよりも――」
 徹の視線の先は暗がりだったが、長く伸びた草に隠れるように何かがあった。
「あれが、なに?」
「怪我の功名って奴かな?」
 徹は力無く笑う。つられて志穂も笑った。
 一見ただの岸壁だが、ある一部分だけが肌触りが違う。そこは、あきらかに作り物だった。手探りで開閉スイッチを探す。わりとあっさりと見つけることが出来た。岩の間に周りと同じような色をした小さなボタンが一つ。どうやら、これが開閉スイッチのようだった。これでは見つかるはずもない。志穂が恐る恐るボタンを押すと、小さな音を立て、扉がゆっくりと左右に開く。
「和人……」
「志穂、無事だったのか。よかった」
 そこに立っていたのは、前の支部で志穂と同僚だった狭山和人そのひとだった。