美脚トンデモ3人娘(前編)
美脚トンデモ三人娘(前編)
都心のオフィス街が柔らかな新緑に映える季節であった。
リクルートスーツの3人娘が颯爽と歩いている。真っ直ぐな背筋、高い腰、良く伸びた下半身、大股で歩く姿はアジアンビュテーである。目下大学4年生、就職活動の真っ最中で、一番長身のサエが呼びかけて集まった。彼女らはバレーボールの名門高校出身で国体級エース、サエはキャプテンであった。オープンカフェに入ると切り出した。
「高校のコーチから電話があって、来週東京に出てくるから会わないかって・・どうする?」
ドングリ目のアキが目を輝かせた。
「コーチから電話、いいじゃん。会いたいな~卒業してから一度も会ってないんだもの。」
ポッチャリ顔のミホは乗り気でない。
「・・会わないのは迷惑をかけたからでしょ。県大会で敗北するし、ビーチ祭りで指導されるし、それにコーチの家に押しかけたりして、思い出すと恥ずかしいことばかり。今更どんな顔して会うの?」
高校時代の出来事を思い出したのか、しばらく沈黙が続いた。・・忘れぽいアキがいった。
「あれは若気の至り、私たちが子供だったのよ。東京の大学に合格したのはコーチのおかげじゃない。この機会にお礼すべきだわ。」
「・・それはそうだけど、私たち、卒業のときにどんなお礼をしようとしたか覚えてる?・・ミホは恥ずかしくて穴があったら入りたい。」
「あれから3年半、私たちはもう子供じゃないし、大学出たてのコーチがどんなふうになってるか、会ってみたいな~」
「・・・」
腕組みして聞いていたサエが口を開いた。
「いいか、今回はコーチのたっての依頼。私たちはまだお礼をしていない。今回が最後のチャンス。だから3人で会ってお礼する。分かった!」
しっかり者のキャプテンに逆らうことができない。来週末、○○駅前の高層ホテルで会うことになった。何となく浮かない表情のミホ。
名門バレー部のエースでありながら、彼女らはどんな恥ずかしいことし、どんな迷惑をかけたのだろう。そして、卒業のときにどんなお礼をしようとしたのか。
これは美脚3人娘のトンデモ(ない)行状記であるが、それは高校3年の県総体決勝リーグから始まったのである。
一
4年前のこの時期、県立体育館は異様な熱気に包まれていた。
高校部活動の集大成であるバレーボール県大会決勝リーグが行われるからで、頂点に勝ち進んだチームを応援しようと、友人や先輩、家族や親戚、学校関係者が集まり、新聞やテレビも詰めかけていた。
3人は優勝候補と目されていた○○女子高校のエースで、当日は緊張しつつも、相手チームに負けたことがなく、余裕をもって迎えることが出来た。監督が檄を垂れた。
「相手は格下や。普段通りでエエ、ミスをするな!」
円陣を組んでサエが気合いを入ると、選手たちはコートに散った。
1セット目は監督のアドバイスにも関わらずミスが続いて取られた。2セット目からサエのサーブが効いて主導権を握り、やがてアキのトスとミホのアタックが決まりだし、2セット、3セットと立て続けに圧勝した。4セット目はアキとミホのコンビネーションが絶好調で、瞬く間にあと1点にまで追い詰めた。
最後の1点、サエの鋭いサーブを相手が返し、アキがこれを受けてトスを上げ、ジャンプしたミホが思い切りアタックしたときである。
ブチッ!変な音がしてミホの腕が空転した。・・転げるボール。
??呆然とするチームメイト。ワア!小躍りする相手チーム。ミホが真っ赤な顔でしゃがんでいる。監督が叫んだ。
「ど、どうした!」
駆け寄ったサエが応えた。
「ブラが、ブラが切れたんです。」
監督は頭をかきむしった。
「何ということだ!こ、交代だ!」
勢いよく控え選手が飛び出したが、審判の笛が再開を告げない。
コートの選手もギャラリーもシ~ン、笛を咥えた審判はポカ~ン。衆人の目が監督の頭に注がれている。
何と!髪フサフサだった監督の頭が光っているではないか?!
かきむしったときにカツラが飛んでしまったのである。
ワア~!慌ててカツラを着け直したが、監督の脳味噌は真っ白。ノーブラのミホは真っ赤。以後試合の流れは相手チームが握り、アッという間に逆転され完敗してしまった。
3位決定戦のときである。監督は悲壮な面持ちで檄を飛ばした。
「すべてはこの勝負にかかっている。負けると全国ブロックに出場できない。チームの栄誉だけでない、お前たちの進路も飛んでしまう。全力で戦え、死にもの狂いで戦え!恥も外聞もないんだ~っ!」
大声で叫ぶとアリャ~!カツラをもぎ取ったのである。そしてミホを睨んだ。
「お前はエースだ!お前しかいない!そのままやるんだ!」
エエッ!思わずオッパイに手をやるミホ。しかし、監督の迫力に圧倒された。
チームの栄誉と3年生の進路がかかっている。エエイ!負けるものか!巨乳のミホは果敢にもノーブラで戦ったのである。
しかし、オッパイがマリのように弾んでアタックが決まらない。
タッチネットを取られるし、ギャラリーに冷やかされるし、またしても格下チームに惨敗してしまった。優勝候補だったのに信じられない敗北、学校とチームの伝統を汚す結果となったのである。
そのときミホは悔しくてオンオン泣いたが、今になって思うと顔から火が出るくらい恥ずかしい、穴があったら入りたい。
決勝リーグは今もミホの拭いがたいトラウマになっている。
二
歴史的敗北を喫して3人娘は引退した。
恥ずかしい負け方だったから、体育教官室もコートにも近づけなかった。1日も早く夏休みが来て欲しかった。期末考査が終わったとき、駐輪場でアキが叫んだ。
「海に行きた~い!」
キャプテンサエが応じた。
「浜茶屋まで行くぞ!早い者勝ち!ベッタがアイスを奢る~」
彼女らは競輪選手のように飛び出した。海までチャリで半時間、特訓バレー部には軽いものである。
燦々と降り注ぐ初夏の陽射しの下、前傾姿勢で髪をなびかせ、ひるがえるスカートをものともせず、たくましい太ももを晒して全力疾走する姿は圧巻だった。つむじ風のような一団に井戸端会議の主婦は驚いた。
「この頃の女の子って元気ね~男子より勢いがある、頼もしいわ。」
「でも、あんな子が嫁に来たらどうする?尻に敷かれてこき使われるわ。クワラバ、クワラバ。」
ガガ、ガガ~!激しくチャリが軋んでサエが一番乗りで飛び込んだ。
「オッちゃん、アイス頂戴!」
息を弾ませ、ブラウスが汗でベッタリ張り付いている。
続いてザザ~!チャリが転がりアキが飛び込んだ。暑い暑い!いきなりスカートを捲(まく)って風を送る。しばらくして、真っ赤に上気したミホが現れた。
「チェーンが重い、汗ダクダク!」
全身汗みどろ、額やアゴから滴っている。ブラウスをはだけてパタパタ風を送った。滝のような汗が巨乳の谷間に流れ込む。
都心のオフィス街が柔らかな新緑に映える季節であった。
リクルートスーツの3人娘が颯爽と歩いている。真っ直ぐな背筋、高い腰、良く伸びた下半身、大股で歩く姿はアジアンビュテーである。目下大学4年生、就職活動の真っ最中で、一番長身のサエが呼びかけて集まった。彼女らはバレーボールの名門高校出身で国体級エース、サエはキャプテンであった。オープンカフェに入ると切り出した。
「高校のコーチから電話があって、来週東京に出てくるから会わないかって・・どうする?」
ドングリ目のアキが目を輝かせた。
「コーチから電話、いいじゃん。会いたいな~卒業してから一度も会ってないんだもの。」
ポッチャリ顔のミホは乗り気でない。
「・・会わないのは迷惑をかけたからでしょ。県大会で敗北するし、ビーチ祭りで指導されるし、それにコーチの家に押しかけたりして、思い出すと恥ずかしいことばかり。今更どんな顔して会うの?」
高校時代の出来事を思い出したのか、しばらく沈黙が続いた。・・忘れぽいアキがいった。
「あれは若気の至り、私たちが子供だったのよ。東京の大学に合格したのはコーチのおかげじゃない。この機会にお礼すべきだわ。」
「・・それはそうだけど、私たち、卒業のときにどんなお礼をしようとしたか覚えてる?・・ミホは恥ずかしくて穴があったら入りたい。」
「あれから3年半、私たちはもう子供じゃないし、大学出たてのコーチがどんなふうになってるか、会ってみたいな~」
「・・・」
腕組みして聞いていたサエが口を開いた。
「いいか、今回はコーチのたっての依頼。私たちはまだお礼をしていない。今回が最後のチャンス。だから3人で会ってお礼する。分かった!」
しっかり者のキャプテンに逆らうことができない。来週末、○○駅前の高層ホテルで会うことになった。何となく浮かない表情のミホ。
名門バレー部のエースでありながら、彼女らはどんな恥ずかしいことし、どんな迷惑をかけたのだろう。そして、卒業のときにどんなお礼をしようとしたのか。
これは美脚3人娘のトンデモ(ない)行状記であるが、それは高校3年の県総体決勝リーグから始まったのである。
一
4年前のこの時期、県立体育館は異様な熱気に包まれていた。
高校部活動の集大成であるバレーボール県大会決勝リーグが行われるからで、頂点に勝ち進んだチームを応援しようと、友人や先輩、家族や親戚、学校関係者が集まり、新聞やテレビも詰めかけていた。
3人は優勝候補と目されていた○○女子高校のエースで、当日は緊張しつつも、相手チームに負けたことがなく、余裕をもって迎えることが出来た。監督が檄を垂れた。
「相手は格下や。普段通りでエエ、ミスをするな!」
円陣を組んでサエが気合いを入ると、選手たちはコートに散った。
1セット目は監督のアドバイスにも関わらずミスが続いて取られた。2セット目からサエのサーブが効いて主導権を握り、やがてアキのトスとミホのアタックが決まりだし、2セット、3セットと立て続けに圧勝した。4セット目はアキとミホのコンビネーションが絶好調で、瞬く間にあと1点にまで追い詰めた。
最後の1点、サエの鋭いサーブを相手が返し、アキがこれを受けてトスを上げ、ジャンプしたミホが思い切りアタックしたときである。
ブチッ!変な音がしてミホの腕が空転した。・・転げるボール。
??呆然とするチームメイト。ワア!小躍りする相手チーム。ミホが真っ赤な顔でしゃがんでいる。監督が叫んだ。
「ど、どうした!」
駆け寄ったサエが応えた。
「ブラが、ブラが切れたんです。」
監督は頭をかきむしった。
「何ということだ!こ、交代だ!」
勢いよく控え選手が飛び出したが、審判の笛が再開を告げない。
コートの選手もギャラリーもシ~ン、笛を咥えた審判はポカ~ン。衆人の目が監督の頭に注がれている。
何と!髪フサフサだった監督の頭が光っているではないか?!
かきむしったときにカツラが飛んでしまったのである。
ワア~!慌ててカツラを着け直したが、監督の脳味噌は真っ白。ノーブラのミホは真っ赤。以後試合の流れは相手チームが握り、アッという間に逆転され完敗してしまった。
3位決定戦のときである。監督は悲壮な面持ちで檄を飛ばした。
「すべてはこの勝負にかかっている。負けると全国ブロックに出場できない。チームの栄誉だけでない、お前たちの進路も飛んでしまう。全力で戦え、死にもの狂いで戦え!恥も外聞もないんだ~っ!」
大声で叫ぶとアリャ~!カツラをもぎ取ったのである。そしてミホを睨んだ。
「お前はエースだ!お前しかいない!そのままやるんだ!」
エエッ!思わずオッパイに手をやるミホ。しかし、監督の迫力に圧倒された。
チームの栄誉と3年生の進路がかかっている。エエイ!負けるものか!巨乳のミホは果敢にもノーブラで戦ったのである。
しかし、オッパイがマリのように弾んでアタックが決まらない。
タッチネットを取られるし、ギャラリーに冷やかされるし、またしても格下チームに惨敗してしまった。優勝候補だったのに信じられない敗北、学校とチームの伝統を汚す結果となったのである。
そのときミホは悔しくてオンオン泣いたが、今になって思うと顔から火が出るくらい恥ずかしい、穴があったら入りたい。
決勝リーグは今もミホの拭いがたいトラウマになっている。
二
歴史的敗北を喫して3人娘は引退した。
恥ずかしい負け方だったから、体育教官室もコートにも近づけなかった。1日も早く夏休みが来て欲しかった。期末考査が終わったとき、駐輪場でアキが叫んだ。
「海に行きた~い!」
キャプテンサエが応じた。
「浜茶屋まで行くぞ!早い者勝ち!ベッタがアイスを奢る~」
彼女らは競輪選手のように飛び出した。海までチャリで半時間、特訓バレー部には軽いものである。
燦々と降り注ぐ初夏の陽射しの下、前傾姿勢で髪をなびかせ、ひるがえるスカートをものともせず、たくましい太ももを晒して全力疾走する姿は圧巻だった。つむじ風のような一団に井戸端会議の主婦は驚いた。
「この頃の女の子って元気ね~男子より勢いがある、頼もしいわ。」
「でも、あんな子が嫁に来たらどうする?尻に敷かれてこき使われるわ。クワラバ、クワラバ。」
ガガ、ガガ~!激しくチャリが軋んでサエが一番乗りで飛び込んだ。
「オッちゃん、アイス頂戴!」
息を弾ませ、ブラウスが汗でベッタリ張り付いている。
続いてザザ~!チャリが転がりアキが飛び込んだ。暑い暑い!いきなりスカートを捲(まく)って風を送る。しばらくして、真っ赤に上気したミホが現れた。
「チェーンが重い、汗ダクダク!」
全身汗みどろ、額やアゴから滴っている。ブラウスをはだけてパタパタ風を送った。滝のような汗が巨乳の谷間に流れ込む。
作品名:美脚トンデモ3人娘(前編) 作家名:カンノ