小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
アリス・スターズ
アリス・スターズ
novelistID. 204
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

桜の学校

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 

 さび付いた鉄棒。乗る部分が取り外された回旋塔、たくし上げて固定されているブランコ。
 今はもう使えない遊具を取り囲むようにして伸びた桜の枝。ちょうど、満開を迎えていた。
 小学生の時はここでの花見は一度きりだったが、卒業してから家族で見に来たことのある、忘れ去られた桜の名所だ。それらしいものは何も準備してこなかったが、とりあえず携帯電話で写真を1枚だけ撮った。
 振り返ると懐かしい校舎。最後の卒業生だった妹とその同級生の男子、そしてたったひとりの在校生が、2階の窓ガラスに残したレタリング文字。
「ありがとう さようなら」
 おそらく、この田舎の小学校では、もう復活することはないだろう。
 名ばかりの休校。
 どれだけぼろぼろに朽ちていても、はたから見るとなんでもない木造建築でも、ここは私の母校。桜が咲くと来たくなる、大切な場所だ。
作品名:桜の学校 作家名:アリス・スターズ