貯蔵庫 《2018.7.27更新》
本を片手に
「今日はなにが食べたい?」
「え~とー172ページ。」
新婚当時
だんな様に美味しいご飯を作ってあげようと
お料理の本を片手に毎日お鍋と格闘してた。
その頃住んでたアパートの近くの商店街では
露天に新鮮なお野菜がたくさん並んでいて
「おじさん、ほうれん草ちょうだいな♪」
「おくさん、今日はめっちゃ高いよ!」
「だって~172ページは《ほうれん草のお浸し》なんだものぉ。」
なんていう初々しい会話をしつつ
お醤油大さじ2杯~お砂糖小さじ1杯~
そんな日々にしあわせを感じてた遠い日。
あの頃は白いエプロンに憧れて
手作りのミトン(鍋つかみ)と
小窓にはレースのカフェカーテン。
2DKの狭い我が家にはいつも焦げたパンの匂いが充満してた。
こないだお台所の棚を整理してたら
その頃お世話になった料理の本が出てきたの。
あれれー。 ボロボロ。。。
この本がなければ
お料理なんて作れなかった新米の奥さん。
計量スプーンは必需品だったな。
今では… 「なにぃ?味が濃すぎる?お湯で薄めな!」
いらなくなったお料理の本…撤収~★
作品名:貯蔵庫 《2018.7.27更新》 作家名:遊花