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魔九志夢(まくしむ)のアド・ミス物語

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「人間界では、ツチノコさんに賞金1億円のWANTED! 森を守る資金確保のため、役立たずのツチノコさんを人間界につき出したらどうでしょうか?」
 議長の熊さんが賛否を問うていました。
「犠牲になれってことですか、カンニンしてくださいよ」
 ツチノコさんにとっては一大事、必死のパッチで訴えますが、「賛成!」の拍手が鳴り止みません。

 この様子を見ていた伽沙凛、もうじっとしてられません。「もしツチノコさんが人間界に来たら、死んでしまうわ」と飛び出して行きました。突然現れた人間の女の子に動物たちは大仰天。それでも熊さんは落ち着いて、「ツチノコさんは何の取り得もなく、尊敬できません。だから犠牲になって、一度は役立って欲しいのです」と。これを耳にした運動大好きな剣斗が「ツチノコさん、得意の100m走を見せてよ」と促しました。するとツチノコさんは「ヨッシャー!」と答え、森の奥へと消えて行きました。

 それから暫く経って、みんなの前を、丸くなったツチノコさんが…まるでロケットのように、紫電一閃に転がって行きました。
「ただ今の100m走のタイムは2.9秒でした」
 算数大好きな安渡玲が発表しました。すると動物たちから「チーターより速い地球記録更新だ」と大きな拍手があり、「こんな素晴らしいツチノコさんを人間界に渡してはならない」と歓喜の声が上がりました。