魔九志夢(まくしむ)のアド・ミス物語
妖風魔九志夢(ようふうまくしむ)が小学3年生の時でした。ガキンチョ6人、海釣りに連れて行ってもらいました。その日は快晴、船はポンポンポンと煙をたなびかせ、1時間ほど走ったでしょうか、漁場へと着き、釣り糸を垂れました。そこはまさに入れ食いでした。
だけどすぐにお腹が空いてきて、みんなフラフラ状態に。そんな時、まだ元気が残っていた安渡玲(あんどれ)が「おかしな島があるぞ!」と声を張り上げました。その指差した方向を見ると、天空へとそびえた立つ島が目の前に迫ってるじゃありませんか。
断崖は切り立ち、まるでタワーマンション。それにみんな驚き、後退りをしました。それでもお転婆さんの織美亜(おりびあ)が「なんて言う島?」と船長さんに尋ねますと、「異次元島だよ」と返ってきました。
剣斗(けんと)は理科大好き、それでなのか「どんな島?」と興味津々です。
「円筒形の無人島だよ。誰もそそり立つ崖を登ったことがなく、てっぺんには人類が足を踏み入れたことがない森がある。つまり、そこには異次元の世界があると言われてるんだ」
船長さんからのこんな説明に、みんなフンフンと頷くしかなかったです。だけど、おしゃまな伽沙凛(きゃさりん)から大声が上がりました、「上陸した〜い!」と。
作品名:魔九志夢(まくしむ)のアド・ミス物語 作家名:鮎風 遊