透明な音符【詩集5】
だってきみがいないのに
願いなんて叶うはずない
がっかりするのは嫌だから
傷つくのはもう嫌だから
そう言ってあの日
扉を閉じた
夕暮れのオレンジの光に背を向けて
ドアの隙間から差し込む光は
だんだん細くなってやがて消えた
泉は枯れて
よどんだ水たまりの底には
絶望という名の泥が降り積もっていく
曇ってしまった心の鏡は
今は何も映さない
泣いて
笑って
手をつないで踊った
叫んで
怒りに震え
戦って
ついにすべての望みを捨てた
希望なんて嘘だろ
だってきみがいないのに
作品名:透明な音符【詩集5】 作家名:maki