今日も空は青い
「来年からCADを現場にも導入するらしいから、お前らは、CADで図面書かなあかんで。」
「え、西原さんは?」
「お、俺は、お前に任せるよ。」
「ゲ、俺っすか?」
「まあ、高校で習ったから、有る程度は出来るけど・・。」
「まずは、電気図面の書き方を覚えないとね。」
「そやな、それが一番かな。図面見れない事には、ハードもソフトも分からんわな。」
そうこう話しているうちに、2CCLの電気室へ着いた。
「ここも、カラーラインやから1CCLと大して変わらんけど、5年程前に一部の電気制御設備を
リ・プレースしてるから、ソフトでデジタル制御や。」
「各メーカー毎で、制御ソフトプログラムの組み方や、設計思想が違うから、ローダーも違うねん。」
ローダーとはソフトを制御するPLC(プログラマブルコントローローラーと言って、
いわゆるソフトを記憶させて、記述通りに制御するコンピューターの事だ。)に、
ソフトを作成し書き込んだり、記述通りに動作しているかどうか確認する装置だ。
私はこれを見て、DOSで動作している事に少し驚いた。
今時、パソコンはナインドウズ95やで。
そうか、5年ぐらい前とか言ってたな。
まだ、ナインドウズ自体も、DOS上で動いていたから、そんなもんか。
一人で、納得していた。
「まあ、主要ラインは周ったから、受電所見に行こうか。」
暫くすると、受電所へ着いた。
入り口には鍵が掛かっているので、西原班長が、鍵を開けながら、私に質問した。
「ここはなんで、鍵掛かっているか分かる?」
そんなこと、言われてもさっぱり分からない俺は、
「いえ、分かりませんよ。」
そっけなく答えた。
「ここは、特高変電所と言って、77KVで受電した電気を3300Vに降圧してから、
各ラインに送る所やで。各ラインの変電設備で、440V、220V、110Vへ、
さらに降圧して使ってるんやで。」
「高圧やから、間違って触ってしまったら、死んでしまうどころか、丸焦げやで。」
「それだけ、危険なところやから、この敷地内に不用意に立ち入らないようされてるねん。」
「あ、それから、うかつに架空線とかの近くに行かんようにしとけよ。
特別高圧は近くにいるだけで、感電するケースもあるっちゅう話や。