小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

逢魔ヶ刻の少女

INDEX|12ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 


 かちゃりと、喫茶店の扉が背後で閉じる。
 熱い日差しが目を焼く。まるで吸血鬼の気分。
 ――一度流れ始めた噂は消えることはない。例え鳴りを潜めることはあっても、消えてなくなった訳ではない。あの廃レストランからステーキを焼き続ける新人コックの生き霊が消えたとしても、人間ステーキという怪談まで消えた訳ではない。
 だから、噂はタチが悪い。火のない煙は、消し様がない。
 カンテラはその噂が形に成らぬことを祈りながら、廃レストランに戻る。
 噂も幽霊も、実体がないくせに実態を持っている。存在があやふやなくせに結果だけはそのまま残して行く。
 ――まるで、幽霊のように。

――『煙に巻く』了

作品名:逢魔ヶ刻の少女 作家名:最中の中