第1章 8話 『春斗覚醒』
あれから俺はまどかちゃんに速水さんが来るまで休むよう言って、まどかちゃんをベッドに休ませたのだった。そして、まどかちゃんはベッドに横になるとすぐに寝付いてしまった。
「すぅ…すぅ…すぅ」
俺が腰をかけているベッドの隣でまどかちゃんは気持ちよさそうにスヤスヤと可愛らしい寝息をたてて眠っていた。そんなこんなで今に至る。
しかし、おかしいことが一つあるのだ。そう、あれから、速水さんはまだ奥の部屋に行ったきり戻ってこないのだ。
まぁ、あの人のことだから薬を探している間に眠くなって、そのまま寝ちまったっていうパターンではないかと俺は思うのだが…。
「まぁ、一応確かめてみるか」
あの人をそのまま放置しておくと明日まで寝てしまう恐れがおるからな。
なんせ、あの人はマイペース主義で、自分がルールブック的なとこがあるからな。
それに俺と同じで根っからのダルダル症候群だしな。師匠と弟子が似てくるとはこのことだなと改めて実感するぜ。
そう思うと俺は、ゆっくりと立ち上がり、奥の部屋へと重たい身体で足を延ばすのだった。
そして、ドアの前まで来ると俺は、一応ノックをしてみることにした。
-コンコン
「速水さん~いますか?起きてますか~?もしもーし」
俺がノックをし、まどかちゃんが起きないよう適度な声で速水さんを呼んでみたが返ってきた返事は『………』と静寂音だった。
…これは寝てるな。ったくホントに寝てるとは期待を裏切らない人だ。
俺は苦笑いしながらも、速水さんを起こすべくドアノブを捻る。
…どうせ、鍵なんかかけないしなあの人はだから開いてること確実だ。
それに、まどかちゃんに薬飲ませないといけないしな。それに、俺も早く休みたいわけだし。
ドアノブを念のため捻ってみるが…。
予想通りドアには鍵はかかってなく、簡単に部屋に入ることができた。
…でも、よく考えてみるとこれは無用心だよな。この部屋にはいろんな薬が置いてあるわけだし、盗まれたらどうするんだろう。
もしかして、面倒だからといって自分の家も鍵かけないで開けっ放しなんじゃ…。
…まさかな、そんなわけはないよな~いくらなんでもそれは……ありえるな。
速水さんならかなりの確率でそれはありえる。今度聞いてみて本当なら注意するように言っておこう。それがいいな。
俺は心の中で新たな決心をすると、当初の目的である速水さんウェイクアップ作戦に行動を移すのだった。
「しっかし、いろんなものが辺りに転がっていて歩きにくいな。掃除とかちゃんとしてるのかこの部屋…」
部屋に入ると、保健室の薬の臭いよりもさらに少し強くした臭いが部屋全体に広がっていて、辺りにごちゃごちゃと書類やら薬が入っている箱、さらには、雑誌類が散らばっていた。
注意して歩かないとつまずいて転んでしまいそうなくらいだ。…この部屋を自分の部屋と勘違いしてるのではないか。もう少し綺麗に整頓してほしいものだ。
というかさっきから何だか新婚ホヤホヤの夫婦の嫁に口うるさくこうだ、あーだと言う小姑的キャラになってはいないか?
いかんいかん。環境に影響されてつい自分よりもだらしのない人物がいるとこうやって自分はしっかりとしなければという思考パターンにどうもなってしまう。
…っとまぁそんなことはいいとしてだな。
「おーい。速水さん~どこですか~?」
俺はごちゃごちゃとした床を何とか歩きながら、速水さんを探索し始める。
しかし、いくら探しても速水さんの姿は見つからない。周りを見渡しても、物をどけたりして部屋をくまなく探してみてもどこにもいない。
「どういうことだ…」
この部屋の出口はさっき入ってきたドア以外ない。そして、俺はずっとあっちの部屋にいたわけだからそこを誰にも見られず通り抜けることも不可能だ。それを可能にするのは透明人間にでもなるか、超能力でも使わなければ無理だろう。
ソレカ、サイショカラハヤミサンハココニイナカッタ…。
そう思わせるかのようだった。
…おかしい。絶対にこれはおかしい。何かが変だ。
取り敢えずこの部屋から出たほうがいい…そんな予感がする。
そう思うと俺は、急いでさっき入ってきたドアまで駆け出し、ドアノブを捻る。
-しかし
「…ってあれ?何で開かないんだ」
鍵は………かけてない。
鍵は………開いたままだ。それなのにドアノブはピクリとも動かない…。
「何でだ?何で鍵が閉まってないのにドアが開かねぇんだよ!!」
俺は何だかもうわけがわからなくなってパニック状態になっていた。
…いや、ちょっと待て。この状況は一体どういうことだ?
速水さんを呼びにこの部屋に入り、いるはずの速水さんの姿も見つからず速水さんは忽然と姿を消した。…待て待て。この状況前にどこかであったような…。
思い出すんだ。これに似た状況のことを。でも、例えそれがわかったとして何でそれがこの部屋に俺が、そして、開いているはずのドアが開かず、鍵も閉まってないこの部屋に閉じ込められる理由になるんだ。
これは偶然だ、偶然に決まってる!!
だって、この部屋にだってもしかしたら速水さんは、入らなかったかもしれない。
入らないで保健室の方でダルそうにいつものように雑誌をコーヒーなんか飲みながら読んでいたかもしれない。
ただ、まどかちゃんが体調を崩して、休ませてもらうために保健室にやってきて、それで速水さんは、この部屋に薬を………。…ってあれ?
今、俺は何に反応したんだ?何か引っ掛かることがあったはずなんだが…。何だったけ?
もう一度思い返せ俺。俺は、さっき何に気が付いたんだ…。さっきの中にヒントがあったはずだ。よく考えるんだッ!!
俺はゆっくりと大きな息を吐いて、落ち着かせるように深呼吸をする。
よし…ちょっと落ち着いてきた。
それじゃ、もう一回ゆっくりと整理してみよう。
俺は朝から身体がダルくて昼休みの間だけでも休もうと思い、保健室にやってきた。
そこでは、速水さんがいつものようにダルそうに雑誌を読みながら俺を出迎えていた。
と、そこに体調を崩したまどかちゃんが保健室にやってくるのだった。まどかちゃんは本当に体調が悪そうで辛そうだった。
まどかちゃんは休ませてもらうように願い出て、それを見た速水さんは、まどかちゃんにベッドで休むように言って、薬を取ってくると俺たちに告げ、奥の部屋に入っていった。
そこで、さっきからずっと立ったままでいるまどかちゃんをこれ以上体調が悪化しないように俺が速水さんが戻ってきたら知らせるからそれまで横になってるよう言ったのだった。
それで、いつまでも戻らない速水さんを呼びに奥の部屋に俺は入った。しかし、そこには速水さんの姿はなく、静まり返っていたのだった。
それで何だかいやな予感がした俺は取り敢えずここから出ようとドアを開けようとした。
が、ドアはいくらやっても開かず、そして、謎なことに鍵は閉まっていないのだった。
こうして、もう一度思い返してみると、やっぱり何かが引っ掛かる。俺がここの部屋に入ることも偶然ではなく最初から決まっていたかのように…。何者かによって俺がここに入るように仕向けたかのように…。
「すぅ…すぅ…すぅ」
俺が腰をかけているベッドの隣でまどかちゃんは気持ちよさそうにスヤスヤと可愛らしい寝息をたてて眠っていた。そんなこんなで今に至る。
しかし、おかしいことが一つあるのだ。そう、あれから、速水さんはまだ奥の部屋に行ったきり戻ってこないのだ。
まぁ、あの人のことだから薬を探している間に眠くなって、そのまま寝ちまったっていうパターンではないかと俺は思うのだが…。
「まぁ、一応確かめてみるか」
あの人をそのまま放置しておくと明日まで寝てしまう恐れがおるからな。
なんせ、あの人はマイペース主義で、自分がルールブック的なとこがあるからな。
それに俺と同じで根っからのダルダル症候群だしな。師匠と弟子が似てくるとはこのことだなと改めて実感するぜ。
そう思うと俺は、ゆっくりと立ち上がり、奥の部屋へと重たい身体で足を延ばすのだった。
そして、ドアの前まで来ると俺は、一応ノックをしてみることにした。
-コンコン
「速水さん~いますか?起きてますか~?もしもーし」
俺がノックをし、まどかちゃんが起きないよう適度な声で速水さんを呼んでみたが返ってきた返事は『………』と静寂音だった。
…これは寝てるな。ったくホントに寝てるとは期待を裏切らない人だ。
俺は苦笑いしながらも、速水さんを起こすべくドアノブを捻る。
…どうせ、鍵なんかかけないしなあの人はだから開いてること確実だ。
それに、まどかちゃんに薬飲ませないといけないしな。それに、俺も早く休みたいわけだし。
ドアノブを念のため捻ってみるが…。
予想通りドアには鍵はかかってなく、簡単に部屋に入ることができた。
…でも、よく考えてみるとこれは無用心だよな。この部屋にはいろんな薬が置いてあるわけだし、盗まれたらどうするんだろう。
もしかして、面倒だからといって自分の家も鍵かけないで開けっ放しなんじゃ…。
…まさかな、そんなわけはないよな~いくらなんでもそれは……ありえるな。
速水さんならかなりの確率でそれはありえる。今度聞いてみて本当なら注意するように言っておこう。それがいいな。
俺は心の中で新たな決心をすると、当初の目的である速水さんウェイクアップ作戦に行動を移すのだった。
「しっかし、いろんなものが辺りに転がっていて歩きにくいな。掃除とかちゃんとしてるのかこの部屋…」
部屋に入ると、保健室の薬の臭いよりもさらに少し強くした臭いが部屋全体に広がっていて、辺りにごちゃごちゃと書類やら薬が入っている箱、さらには、雑誌類が散らばっていた。
注意して歩かないとつまずいて転んでしまいそうなくらいだ。…この部屋を自分の部屋と勘違いしてるのではないか。もう少し綺麗に整頓してほしいものだ。
というかさっきから何だか新婚ホヤホヤの夫婦の嫁に口うるさくこうだ、あーだと言う小姑的キャラになってはいないか?
いかんいかん。環境に影響されてつい自分よりもだらしのない人物がいるとこうやって自分はしっかりとしなければという思考パターンにどうもなってしまう。
…っとまぁそんなことはいいとしてだな。
「おーい。速水さん~どこですか~?」
俺はごちゃごちゃとした床を何とか歩きながら、速水さんを探索し始める。
しかし、いくら探しても速水さんの姿は見つからない。周りを見渡しても、物をどけたりして部屋をくまなく探してみてもどこにもいない。
「どういうことだ…」
この部屋の出口はさっき入ってきたドア以外ない。そして、俺はずっとあっちの部屋にいたわけだからそこを誰にも見られず通り抜けることも不可能だ。それを可能にするのは透明人間にでもなるか、超能力でも使わなければ無理だろう。
ソレカ、サイショカラハヤミサンハココニイナカッタ…。
そう思わせるかのようだった。
…おかしい。絶対にこれはおかしい。何かが変だ。
取り敢えずこの部屋から出たほうがいい…そんな予感がする。
そう思うと俺は、急いでさっき入ってきたドアまで駆け出し、ドアノブを捻る。
-しかし
「…ってあれ?何で開かないんだ」
鍵は………かけてない。
鍵は………開いたままだ。それなのにドアノブはピクリとも動かない…。
「何でだ?何で鍵が閉まってないのにドアが開かねぇんだよ!!」
俺は何だかもうわけがわからなくなってパニック状態になっていた。
…いや、ちょっと待て。この状況は一体どういうことだ?
速水さんを呼びにこの部屋に入り、いるはずの速水さんの姿も見つからず速水さんは忽然と姿を消した。…待て待て。この状況前にどこかであったような…。
思い出すんだ。これに似た状況のことを。でも、例えそれがわかったとして何でそれがこの部屋に俺が、そして、開いているはずのドアが開かず、鍵も閉まってないこの部屋に閉じ込められる理由になるんだ。
これは偶然だ、偶然に決まってる!!
だって、この部屋にだってもしかしたら速水さんは、入らなかったかもしれない。
入らないで保健室の方でダルそうにいつものように雑誌をコーヒーなんか飲みながら読んでいたかもしれない。
ただ、まどかちゃんが体調を崩して、休ませてもらうために保健室にやってきて、それで速水さんは、この部屋に薬を………。…ってあれ?
今、俺は何に反応したんだ?何か引っ掛かることがあったはずなんだが…。何だったけ?
もう一度思い返せ俺。俺は、さっき何に気が付いたんだ…。さっきの中にヒントがあったはずだ。よく考えるんだッ!!
俺はゆっくりと大きな息を吐いて、落ち着かせるように深呼吸をする。
よし…ちょっと落ち着いてきた。
それじゃ、もう一回ゆっくりと整理してみよう。
俺は朝から身体がダルくて昼休みの間だけでも休もうと思い、保健室にやってきた。
そこでは、速水さんがいつものようにダルそうに雑誌を読みながら俺を出迎えていた。
と、そこに体調を崩したまどかちゃんが保健室にやってくるのだった。まどかちゃんは本当に体調が悪そうで辛そうだった。
まどかちゃんは休ませてもらうように願い出て、それを見た速水さんは、まどかちゃんにベッドで休むように言って、薬を取ってくると俺たちに告げ、奥の部屋に入っていった。
そこで、さっきからずっと立ったままでいるまどかちゃんをこれ以上体調が悪化しないように俺が速水さんが戻ってきたら知らせるからそれまで横になってるよう言ったのだった。
それで、いつまでも戻らない速水さんを呼びに奥の部屋に俺は入った。しかし、そこには速水さんの姿はなく、静まり返っていたのだった。
それで何だかいやな予感がした俺は取り敢えずここから出ようとドアを開けようとした。
が、ドアはいくらやっても開かず、そして、謎なことに鍵は閉まっていないのだった。
こうして、もう一度思い返してみると、やっぱり何かが引っ掛かる。俺がここの部屋に入ることも偶然ではなく最初から決まっていたかのように…。何者かによって俺がここに入るように仕向けたかのように…。
作品名:第1章 8話 『春斗覚醒』 作家名:秋月かのん