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シリアル

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「食事をしばらく変えてみようかな」
彼女は、鏡の自分に問いかける。
鏡越しに 僕に視線を向けた彼女は、やっぱり微笑んで話す。
「朝食のパンをやめて シリアルにする」
「今のままでも 僕は構わないけど」
女ごころは、なかなか強い。
決めたこと、ましてやビジュアルに関しては危ないほど執着する人もいるようだ。
「今日のお買いものに着て行こうと思ったけど、少しおあずけ。似合ううちにもう一度着て見せるわね」
僕は、どんな顔をすればいい? どんな言葉を…… 何も言わずに頷いておこう。

そんなとき、少し開いていた扉から 我が家の猫が入ってきた。

ショートな毛並。クリアなブラウンの目。澄ました顔でときどき現れるこの雌猫は、子どもたちの要望で飼うことにしたのだが、僕が世話をすることがほとんどだ。
彼女が猫を嫌っているわけではないけれど、雌猫は 彼女より僕に少しなついているようだ。

「いつ見ても 貴女はスレンダーよね。羨ましいわ」
彼女は、雌猫に嫉妬しているわけではないけれど、雌猫の容姿を美しいといつも言う。
僕は、彼女の身支度ができるのを待って 街へと買い物に出かけた。

作品名:シリアル 作家名:甜茶