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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 皆が負けるとは思えないけど、帰ってくるまで心配が消えなかった。
 するとそんな時だ。塩田さんが目を覚ました。
「う……、ん」
「塩田さん」
 私と里中先生は顔を覗きこんだ。
 しかしまだ虚ろな瞳で周囲を見ていた。
 すると里中先生が言って来た。の 
「塩田さん、私達が分かる?」
「里中……、先生……、白金、さん」
 震える唇で言葉を洩らす、どうやら意識はハッキリしているようだった。
 ただ後で精密検査が必要になる、何しろエヴォルを打ち込まれた上に洗脳されたのだから、どこかしらに異常があるはずだからだ。
 すると塩田さんは何かを思い出したように言って来た。
「……レ……ン、レン……は?」
「えっ? まさか……」
「貴方……、記憶があるの?」
「来て……、くれたんでしょう?」
 塩田さんは言って来た。
 洗脳の中には記憶が消えない物も存在する。
 半分以上はうろ覚えだが、レンが着てくれたという事だけは覚えているとい言う。
 すると塩田さんは無理やり体を起こし始めた。私はそんな塩田さんを抑えた。
「塩田さん! 駄目よ、まだ寝てなきゃ!」
「離して! 近くにいるんでしょう? 邪魔しないで!」
「塩田さんっ!」
「ストップ」
 里中先生が私達の間に割って入った。
 やっぱりこう言った時に頼りになるのは大人の人だった。
 すると里中先生は私を後ろに下げると塩田さんの肩に手を当てながら言って来た。
「慌てないで塩田さん、レンは確かに貴女を助けに来てくれたわ。でも貴女にもしもの事があったら……、帰って来た時にレンも悲しむんじゃない?」
「……すみません」
 里中先生の言葉に塩田さんは謝罪した。
 するとその時、校庭の方から音が聞こえた。
 私がそれを見ると、校庭のど真ん中にオートバイに乗った2人の男が現れた。
「兄さんっ!」
「えっ?」
 私は里中先生達の横を通り過ぎて表に出て行った。
 保健室は昇降口の近くにある、私は上履きのまま表に飛び出した。
 私達が兄貴達に向かって行った。
「兄さん、レンっ!」
「舞!」
 兄貴はバイクから降りるとセイヴァー・ギアのヘルメットを取って私に近づいた。
 すると後ろからレンが兄貴の方をつかんで弾き飛ばすとレンが言って来た。
「恵はどうした? どこにいる?」
「えっ? あ、ああ……」
 レンは私の両肩をつかんで前後に揺すった。
 振り子のように首が揺られ、圧倒的な気迫に私はたじろいだ。
 すると兄貴が横から手を伸ばすとレンの胸倉をつかみながら鬼のような形相で言って来た。
「テメェ、舞に何しやがるっ?」
「はあ? オレは恵の居場所を聞き出してるだけだ!」
「ちょ、2人供止めてよ!」
 私は2人を落ち着かせる。
 だけど2人は私の話なんて聞いてない、互いをにらみつける目と目の間に火花が飛び散っていた。
 すると遠くの方から声が聞こえてきた。
「貴方達、何大騒ぎしてるの? 近所迷惑よ」
「千鶴ちゃん!」
「班長!」
「里中先生っ!」
 私達はそれぞれの呼び名で呼んだ。
 里中先生はゆっくりと私達に近づくと兄貴達に言って来た。
「お疲れ様、どうやら成功したみたいね」
「ええ、これを」
 するとレンはポケットからエヴォルを取り出して千鶴ちゃんに渡した。
「行きましょう、塩田さんが待ってるわ」
「恵が?」
「ええ、目を覚ましてお待ちかねよ」
 すると里中先生は背を向けて校舎の中に入って行った。