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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 そんな事を考えていると船内に機械音声のアナウンスが響いた。
『大気圏突入開始、ワープ開始します』
 モリゾンはオレ達から一瞬目を反らした。
 そして実力差を見せ、勝ちを確信したのだろう、モリゾンは鼻で笑いながら言って来た。
『どうやら自分の勝ちらしいな、所詮諸君らの努力は無駄だったという事になる』
 明らかに見下していた。
 ワープ先はオメガの本部か支部だろう、末端の支部だったとしても勝ち目は無い、たった2人じゃどうあがいても無理だ。
 何とかここで仕留めなきゃいけない、でなきゃ全てがお終いだ。
 オレの覚醒状態もそろそろ限界に近い、ここで何とか食い止めなきゃならない…… だがこいつは強敵だ。改造手術して無い状態でこれだけ戦えるなんざ、強敵を通り越して化け物レベルだ。
 どうすれば良いのか悩んでいると、レンがふらつきながらも立ち上がった。
 その姿を見ながらアブラムが言って来た。
「何だ。まだあがくのですか? 勝負はついているのですから、いい加減諦めたらどうなのですか?」
 しかしレンは反応しなかった。
 それどころかこいつの瞳を見れば分かる、こいつの目は死んでいない、諦めていなかった。
 レンは一歩前に踏み出し、セイヴァー・アームズを構えてるが、その姿にモリゾンは息を深く吐くと首を横に振りながら言った。
『おろかな、諸君もオメガの一員だったのだから分かるだろう? このまま無駄死にするより降伏する方が得ではないのか?』
「何?」
 レンは眉間に皺を寄せる。
 するとモリゾンは臨戦態勢を解いて右手を上げながら言って来た。
『裏切りは死…… それがオメガの掟だ。しかしこれだけ戦えるのだ。再び忠誠を誓うと言うのならば我が配下に取り立ててやる、悪い条件ではないだろう?』
「断るっ!」
 レンは即断した。
「オレは諦めない…… 二度と諦めてたまるか!」
 レンの瞳に炎が灯った。
 その瞬間、オレは思い出した。

 レンは故郷の戦争で家族を失い、妹を人体実験の犠牲にされた。
 そしてオメガに魂を売り国を滅ぼした後は自棄となった訳だが、地球に来てこいつの運命は変わった。
 全てを失い、絶望と言う闇の中でこいつは光を手に入れた。
 オレだってそうだ。守るべき者がある、絶対に負けられない理由がある…… シスコンの根性見せてやる。
「ハッ、見習いのくせに、カッコつけ過ぎだぜ」
 オレも立ち上がりながら言った。
『まだ諦めないか、それでこそセイヴァー・エージェントだな』
 モリゾンは口の端を上げて目を吊り上げて笑った。
 そして腰を低くして身を構えた。
『こんな気分は久しぶりだな、再び全力が出せる日が来ようとはな!』
 モリゾンはそう言うと目をカッと見開くと床を蹴って走り出した。
 オレ達も走ると刃を振るって攻撃した。しかしモリゾンは左右に体を振って刃を交わし続けた。