ihatov88の小咄集
26先生、あのね 6/7
ぼくは七人きょうだいの末っ子。一番上の姉ちゃんは15歳も年上で、お母さんは40過ぎてから僕を産んでくれた。友だちのお母さんと並ぶと年も目方もかなり大きいけれどぼくはお母さんが大好きだ。
ぼくには友だちがいる。コウタって言うんだけど、お母さんがモデルをやっててとってもキレイなんだ。家に遊びに行くととっても優しくしてくれて近所でも評判なんだ。
「お母さんがあんなだったらいいな」
と思うことはあるけど、やっぱり今のままがいい。
今日、学校の授業中、発表することがあったんだ。先生は昨日しゅくだいを出した。先生は一番上の姉ちゃんと同じ年の若い女の先生だ。
最初に当たったのはコウタくんだ。その時コウタくんは先生のことをまちがえて
「お母さん」
と言ったんだ。教室はみんなの笑い声がして先生は
「あらあら、コウタくん。ここは学校よ」
と言って微笑んでいた。
次にぼくの番が来た。ぼくもつられてまちがえて、
「あのね、お母さん」
って言ってしまったんだ。すると先生はさっきの笑顔が完全に消えて、
「なんで先生とあなたのお母さんと間違えなければならないのよ!」
とカンカンになって怒られた。
間違えただけなのに、それも間違えたのはぼくだけじゃないのに、ぼくだけが怒られた。
なんでだろう、わからないや――。
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔