ihatov88の小咄集
47教育は世界を救う 10/17
世界食料計画(WEP)の担当者であるデイブはたまたまテレビで見ていたノーベル平和賞の発表の瞬間。10代の若者が受賞したことにいたく感動した。その内容というのが、
「教育が世界を救う」
ということで、デイブも世界を救う職員として何か出来ないかと考えた。
彼の国は貧しい国で満足な教養を受けることができなかったが、
「満足に食べてこそ充実した教育が受けられる」
と教養は無いがそれをお腹でアシストできるという信念をもち、志高く機関の担当者になったデイブは世界の平和に一役買いたいと思い、食べるものに困っている人たちに食料を支援する地域に対し、各先進国の政府と掛け合い大量の食糧支援を受ける契約をつけることが出来た。
「これで貧しい国も十分に食べることができる。私も世界の平和に一役買える」
と喜んで、貧しい国々に鶏数万羽を支援することとした。
そして数週間後、各国からお礼の返事が来た。皆に喜ばれて得意気なデイブは送られてきた手紙を一つずつ開け、その内容を確認した。
「なな、なんと……」
「大変おいしくいただきました」
「できたらオンドリの方が足らなくなったので、もう少し支援願いたい」
デイブは肩を落とした。やっぱり教育は大切なようだ――。
「そうか、ニワトリではダメだったか」
それでもめげないのがデイブのいいところ。オンドリ全部食べたらニワトリ増えへんやんかい、というツッコミを敢えてせず、今度はブタを支援することにし、まるまる太ったおいしそうなブタさんを貨物船にのせて現地に輸送することにした。
「これで、世界の平和に貢献できる」
数週間後、船が帰ってくると先日涙ながらに見送ったブタさんが帰ってきたのです。そこで現地の担当者からこんなコメントが。
「彼らは宗教上の理由でブタはタブーなんですよ」
やっぱり世界を救うのは教育かもしれません。
作品名:ihatov88の小咄集 作家名:八馬八朔