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七ケ島 鏡一
七ケ島 鏡一
novelistID. 44756
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グランボルカ戦記 8 白と黒の姉妹姫

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 エドがノックをしながらそう声をかけると、すぐに中から綺麗な声で返事が返ってくる。
「あ、居ます居ます。どうぞお入り下さい。」
 謁見の間や配下の人間の前では威厳を崩さないよう振る舞うオリヴィエだが、エドやクロエ、それにソフィアの前では歳相応の少女の振る舞いを見せてくれる。
 エドはそれをオリヴィエが自分たちに懐いてくれた証だと思い、嬉しく思っていた。
「急で悪いんだけど、北からの使者がこっちに向かっているんだって。それでその使者を迎えに出たいんだけど少し出かけてもいいかな。」
「外出されるのは構いませんけれど、どうして北からの使者の迎えをエーデルガルド様がなさるのですか?迎えが必要であれば私の兵を出しますが。」
「前に話したクロエのお姉ちゃんのアリスが北にいるらしくて、その使いで私の配下のシエルが向かっているみたいなんだ。しばらく会っていなかったから少し話もしたいし許可がもらえるなら迎えに行きたいなと思って。」
「そういうことですか。でしたらどうぞ行ってらして下さい。ヴォルカンが何か言って来ましたらこれを。」
 そう言ってオリヴィエは手に持っていた羽根ペンで羊皮紙にサラサラと手早く命令書を書くと綺麗に折ってエドに手渡した。
「ありがとうオリヴィエ。」
「いえいえ。本当はもっと自由に動いていただければいいのですが、ヴォルカンが口うるさくて申し訳ありません。」
「いや、ヴォルカンさんの心配ももっともだよ。いきなり隣の国の軍勢が大勢押しかけてきているんだから神経質になるのも仕方ないって。」
「でもエーデルガルド様達を疑うなんて・・・。」
「それはヴォルカンさんがオリヴィエを大事に思っているからだって皆わかっているから大丈夫。誰もヴォルカンさんを悪く思ったりしないから安心して。」
「そう・・・ですか。」
 ホッとしたような表情でオリヴィエが微笑む。
「エーデルガルド様は何でもお見通しなんですね。」
「私はどっちかって言えば鈍いって言われるほうだけどね。それじゃちょっと行ってくるね。多分今日中には戻ると思うから謁見の準備をして待っていて。」
「はい、わかりました。お気をつけて。」
 そう言って笑顔で手を振るオリヴィエに見送られてエドは部屋を出た。