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あのころ

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たぶん私は生まれつき薄情なのかもしれないと
ずっと思っていた


悲しいこと 嬉しいこと 苦しいことが大して変わらないような気がしてた

昔から何をしても楽しいとか嬉しいとか
喜びとか悲しみを周りの人ほどほど感じられない

酷い父親(あの人)のいる家庭だったけど
裕福だったし 長い時間をかけて辛いことにも少しづつ慣れてしまったし
家族というグループの中でひとりだけ苦しむ事も辛かったから
あの人が死ねばいいのにと願いながら
大人になった

自分でお金を稼ぐ事が出来る様になったときも
あの人は何もかも支配しようとしたけれど
それなりにあわせながら自由にしてた

やりたい事も無く生き甲斐を見つけるような仕事もなくて
ただ何となく生きていた
時代が良かったから
可愛ければ幾らでも贅沢できた

でもそのうち全てに飽きた

遊びも男も友達も

もちろん働くことも嫌になり
それでもお金は必要で
そのころ流行りの愛人になることにした

相手は良く遊んでいたお財布(お金を払う人)の中の一人で
必ずタクシー代だと言って札束を渡してくれたいた大きな会社のジュニアにした

所々で育ちの良さを感じさせるが
悲しいかな容姿は残念な感じ 
かまぼこに似ている
優しい話し方や圧倒されるほどの経済力が全てをプラスにできた

かまぼこは政治家の娘と結婚して娘がひとりいた


付き合うことを承諾した時の子供の様な喜び方が可愛かった
大切にするからねと何度も何度も

次の週には白金のマンションを用意してくれた

伝説のバンド(解散している)のヴォーカルが下の階に住んでいて 
夜中に酔いつぶれて抱えてもらってる姿をみかける

ひとりで住むには広すぎる部屋でかまぼこを待つ生活

また飽きたらやめればいい
簡単な事

かまぼこを愛してるわけじゃないし・・・



愛ってなんだ?

嬉しいのか?

悲しいのか?


まあいいか










作品名:あのころ 作家名:sumire