アミィに捧ぐ”Duet”
それは、ひどく傷つく茨の道。他人のことなんて、信じないほうがいいに決まっている。言葉なんか、まともに受け取っていたらずっと損してばっかりじゃないか。ただのコミュニケーションの道具として使う方がいい。ホモサピエンスのコミュケーションのフォーマットだ。犬がワン、と鳴くのと同じ。言葉の意味など枯れてしまえばいい。
「手を、握って」
温もりをもっと強く感じたい。またいつ冷たい炎が身を冒すか知れない。
「うん……」
疑いの火種はあっというまに広がり、己自身を焦がしつくす業火のようだ。いっそのこと氷室の煉獄に灰になるまで閉じ込められれば、こんなに苦しまずにすんだ。いつだって生田は出来たはずだ。
結局、俺は求めていたんだ。言葉に意味があることを。この奈落から、冒し続ける凍てつく蒼白の炎から助けてほしかったんだ。心の奈落に差し伸べられた手を強く握って、ようやく震えが止まった。
作品名:アミィに捧ぐ”Duet” 作家名:明梨 蓮男