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ぽっちゃりグラビアアイドル×秋葉系東大生

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街で花子と久々にあった。彼女は元気な声で、
「ひろちゃん」と声をかけてきた。
 体型は明らかにスマートになっている。
「おう、元気にやってる?」
「うん。走ったりもしているけど最近では歩く距離と時間を減らして走っている時間も長くしていった。今では週に2回程度だけどね。他の日はよく歩くようにしている。やはり持久力って、毎日続けていると上がるのね」
 僕達はまた公園に行った。
「偉いよ。走ってるんだ」
「最近では走る事よりダンスをしているの。最初はみんなについていけなかったけど、例のインターバルを活用してね。前88キロもあったから、ちょっと動いただけで疲れちゃったけど今は体重62キロだし、ダンスもできるようになったら毎日が楽しくて」
「62キロ、ずいぶん減ったねえ」
「でも身長160cmで62キロじゃ。そんな痩せてる方じゃないわよ。まあ筋肉もあるし健康的な体型と言われるけど」
「じゃあ、もっと痩せればいいじゃん。持久力はインターバルの方法で上がる事だし、ひたすら続ければ…」
「いいのよ。これ以上。やっぱ東大生は頭固いわね。私は適度に運動して食べたいピザやパスタも週に1,2回食べて、スイーツも食べて飲み会も行って充実してるの。別にこれ以上痩せなくても、今のこのふくよかな体型を愛しているの。アイドルになるにはもっと、お人形さんみたいに痩せなきゃいけないけど」
「今は、私が逆に体重で悩んでいる人の悩みを聴いているの。そして一緒に痩せる為に頑張ってる。人から頼られるのって私の人生でもあまりなかったけど、それと…」
「それと?」
「私アイドルになる夢辞めようと思う」
「ええ、辞めちゃうの?」
「うん。ある時急にやめようと思ったんじゃなくて、私が自信がつくにつれ、体重が減るにつれ、アイドルになる気も失せていった。私弱い人に優しくしたいからアイドルなったりって言ったけど、本当はコンプレックスみたいなものもあったのね。男の人が並んで私のサイン会やら、握手会に来てくれたら。そんなのを想像してたの。でももう自信もついたし、自分の花子って名前も嫌いだったけど今は好きになったし。今生きてて充実してるし悩みの質も変わっていった」
「そっかあ、もったいないなあ」
「もったいないなんてそんなことないよ。弱い人を守るとかならアイドルじゃなくて他にも方法があるし、私やりたい事があるの」
「やりたい事?何?」
「私国文学専攻しているでしょ。私このまま勉強を続けたら4年生で国語の教員免許の受験資格が得られるらしいの」
「花子が先生?」
「そう、私学校の先生になろうかなって思ってるの。太っていることでいじめみたいなものも散々受けたし、弱い人の気持ちはわかるつもりよ。人間てみんな不完全で知らないところで人が傷ついて、傷つけるのは簡単に傷つけてしまうけど、それを癒すのは時間がかかる。一人ではなく誰か良き相談相手も必要。人は一人では生きていけないのね。自信を持つにはやはり自分を表現できるようにならなきゃ。勇気を持って自分を表現しなきゃって、本当の強さや弱さって何だろうって考えているうち、学校の先生になりたいなあって思い始めたの」
「うん。すごくいいと思う。応援するよ」
「ありがとう、でも応援もいいけどひろちゃんももっと何か頑張ってね。秋葉系でアイドルばかり追いかけてないで」
「もう追いかけてないよ」
「どうだか」

 改めて花子を見てみると本当に健康的な美少女だ。顔をアイドルと言ってもおかしくないルックスを元々持っている。
 僕は勇気をもって花子に告白した。
「花子。僕は二人でここまで歩んできた。ダイエットもほぼ成功した。だから僕と正式に付き合わないか」
「それは…」
 花子が言った。
「それは…それとこれとは話は別。ひろちゃんは親友みたいなものよ。だってせっかくこのスタイルを手に入れたんだもの。もっといろいろ新しい出会いとか素敵な恋とか、冒険したいもん」
「だよね」
                               (完)