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No.27

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 いつでもどこでも誰かしらに見られていて、その視線は絶えることなどないと思っていた。一人になることと、独りになることの違い。それを自覚したのは多分、あいつと言葉を交わすようになってからだ。高校生なんていうありふれた肩書きと、性別が男であるということ以外なんの共通点も見いだせない“あいつ”。
 そいつは、屋上の偏屈や究極の自由人と揶揄されることが多い。前者はわかるのだが後者はどうにも理解しがたい。究極を冠するにはまだ自由度は低いだろうと思う。そもそも学校に在籍している時点で矛盾している。こんなくだらないことに言及してしまう俺も俺、基本的に馬鹿か阿呆呼ばわりの底辺の扱いである。偏屈や自由人なんて芸術的な揶揄のされ方をしてみたいものだ。
飽くまで俺はやればできる子で、秘めたる力を隠して生きているすごい人間なのだ。
ということをあいつに言ったら鼻で笑われた。
「そういう発言が馬鹿だって言っているんだよ、お馬鹿」
 うん、俺も少しだけそう思ったよ。



 私立第二第五高等学校、二年五組、席は廊下側二番目の列、後ろから二番目。第二第五とかいう気持ちの悪い名前には理由がある。第一高校と第二高校の二つしかなかった時代、生徒数が増え第一高校はそのまま第二高校だけが四つに分割された名残である。現在はその当時の生徒数が四つ分という比較的規模の大きい学校系列になっている、らしい。ちなみに第四が無く、第二、第二第二、第二第三、第二第五の四つである。第二第二というのは一瞬喧嘩を売っているのかと思ってしまった。四がない理由は単純に不吉であるかららしい。
そのうちの最も成績不振であるこの第二第五で、俺は高校生生活を送っていた。季彦という名前はよく、金持ち臭いとからかわれるが金持ちだったらこんなところには来ない。学力水準が低いので、俺の名前をばっちり間違えずに呼んだ人間は教師を除いて今のところ二人だけ。キヒコやらリヒコ――季と李の誤認――やらヒコだけはあっているのだがいまいち日本人の名前になっていない。実際はスエヒコである。なんとか彦、イコール、金持ちといった面白おかしい思考回路を皆さんお持ちのようなのは把握した。
「季彦くん、季彦くん」
作品名:No.27 作家名:戀絲つばき