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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  3話  『サイセイ』

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思わずそう、問いただしたくなってしまう。だが、聞くことはできない。
だって聞いてしまったら、それが嘘であったならば正気でいられなくなってしまう。
だからお願い。これが夢であったなら覚めて。

「アハハハ。惨めだな。貴様が地にひれ伏すその姿、絶好の眺めだ。実に気分が良いぞ!!既に勝機も勝負も見えているが、まぁ、魔法学校で共に学んだ仲だ。せめて苦しまずに楽にさせてやろう」

「うぅ…」

私は泣いていた。別に悲しかったからじゃない。……悔しかったのだ。
そう、私は悔しい。何も出来なかった自分、守れなかった自分、無力である自分。
そして、弱い自分…。

昔から誰かに頼ってばっかで、誰かに甘えてばかりで…、私一人では何も出来なかった。
きっと誰かが何とかしてくれる、きっと誰かが助けてくれる。私はいつもそうやって逃げて、誰かの影に隠れて、自分では何もしようとはせず甘えていたのだ。そうさ、全ては私のせい…。自分で蒔いた種…。自分で招いた結果なのだ。

だから、これは当然の報いなのだ。

そう…わかっているのに…、でも…、でも…、私は…。

「さぁ覚悟は決まったかい?では、これで……、終わりだッ!」

彼女の手から強大な魔力の鋭い光の刃が放たれる。
さっきの5倍もの魔力だ。防ぎきれない…くうっ!

「ヒナちゃん…」

私は、諦めてレジストするのをやめた。
-その時だった

爆音と爆風のような衝撃波が私達を襲った。

「な…、何だ!?」

「…ッ!!」

私は驚いた。突然、私の後ろで大きな爆発が起き、結界が破壊されたのだ。
それにもっと驚いたのは、さっき私に向けられていた強大な魔力の光の攻撃が一瞬でかき消されていたのだ。

だってあんなにも強大な魔力だったんですよ。私でもかなわないのに。
ましてやかき消すなんて…ありえない。一体…何が…どうなって…。

「んだよ!!ったく、この公園をこんなに派手にメチャクチャにしやがってよ…。どうすんだよ…これ??」

「え?」

聞き覚えのある声が私の後ろから聞こえてくる。
私は、耳を疑った。だって、この声は……!!……まさか、そんなはずは…。
私はゆっくりと後ろを振り返ってみると…、そこには彼がいた。

「な…何者だ!?貴様はっ!?」

謎の少女が驚いた表情で俺を見つめ、俺に問いただしてきた。
何だ今日はやけに謎な感じに縁があるんだな。厄日か??

「何者だぁ??テメェこそ何者だぁ??ガキの分際で何様…いや、お子様ですかぁッ??ヒャハハ」

ニィっと俺は不敵に笑みを浮かべる。

「ふざけるな質問に答えろッ!!」

ツリ目な少女がさらにツリ目にして、顔を真っ赤にし今にも湯気が出そうだった。

「だーかーら、俺自身にもわかんねぇってのッ!!この力だって今さっき使えるようになったんだしよー!!どこでいつこの力を手に入れのかもわからねぇしよ。っていうかぶっちゃけよ、まだ半信半疑なんだ。だから、俺は知らねぇ。わかったか??お嬢ちゃんよー??」

「お…お嬢ちゃん。くぅぅぅッ!こ…この私を愚弄するとは…、貴様ッ!!生かして帰さんぞッ!!死して後悔するがいい!!アハハハ」

謎の少女の手が光り始めたかと思うと、その光が凝縮していき、一気に放たれた。

「ヒナちゃんッ!!」

「アハハハ!もう遅いわ、手遅れだッ!死ねえぇぇえええッ!!」

凝縮された強大な魔力の光が俺に迫る。-だが

「そんなチンケな力で俺を殺ろうってのか??面白い、面白いじぇねぇか!!あまりの楽しさに気が昂っちまうじゃねぇかよ!!ヒャハハハハ!!!!いいかッ!!今の俺じゃまだいまいちこの力を制御できねぇ!!だから手加減なんかできねぇよおおおおおおッ!!」

俺は、迫ってくる光に向かって手をかざした。
不思議と力がどんどん満ち、無限に湧きあがってくるようだった。

「へ、火力十分ってか。ほんじゃまぁ、吹き飛べッ!!」

俺は全神経を掌に集中させ、頭の中では掌に魔力を供給しているイメージを描く。
それから、それを解き放つように掌に力を籠める。そして、解き放つッ!!

「ぶっ殺されたくなかったら、避けたっていいんだぜぇッ??避けねぇとホントに跡形もなく綺麗サッパリあの世行きなんだからよおぉおお??」

「な…何だとッ!!私の魔力に勝る…だ…と??…何だこの力は…ッ!?」

謎の少女の攻撃をかき消し、そのまま力を弱めず少女に迫っていく。

「くぅ…ッ!!仕方ない、リミットブレイク!!」

咄嗟に謎の少女は、呪文を詠唱し、増幅した強大な魔力で光の壁みたいな障壁で攻撃を回避する。

「はぁ…はぁ。…フフフ♪私としたことが少々本気にさせるとはな。この私のリミットを解除させたのは貴様で2人目だぞ♪♪光栄に思うのだな♪♪アハハハ♪驚いたぞ♪」

謎の少女は、さっきまでの態度とは一転し、今度は嬉しさを抑えきれないと言わんばかりに怪しい笑みを浮かべ、そして、クスクスと笑い声を洩らす。

「………」

「あぁん??本気だぁ??テメェ如きが本気になろうが、俺が弱くなるわけじゃねぇし、テメェが強くなったわけじゃねぇよなぁッ!!!さぁ、おさらいだ!!俺の強さをちゃーんと再確認といこうかッ!!」

脚部に魔力を通わせそれを纏わせると、地を蹴ると勢いよく少女に向かっていく。

「ヒャハ!!久々に我が目覚めたのだッ!!本来の力を引き出すくらいまでは壊れちまうなよ??」

右手に瞬間的、爆発的に魔力を増幅させると、躊躇うことなく少女に力を叩きつける。
が、紙一重で後ろに退いてかわす。だが、勢いを保ったその拳は空を乱し、衝撃波のような弾撃が公園の遊具を一瞬で跡形もなく消し去った。

「いいねぇ、いいねぇ!!そうでなくちゃ面白くねぇッ!!!さぁて、次はどうですかぁ??」

息つく間もなく蹴り連打を浴びさせる。
魔力障壁を腕に覆い、少女は一つ一つ連撃を受け、防いでいった。

「…クッ!!防ぐのは私には容易いが、この力、それだけではないな」

「おやおや??減らず口を叩いている場合ですか??余裕ですか??仕方ねぇな、我の力で無に帰してやろうじゃないかッ!!」

大きな一撃を少女に叩きつけ一瞬の怯みを生み、隙をついて蹴り飛ばす。

「さて、本日最後のショータイムだ!!空では身動き取れぬだろ??それが意味するは死。最大出力全開でコレをぶっ放してやろうッ!!!」

目障りなクソガキを消し去ろうと、もう一発お見舞いしてやろう。
しかし、少女は恐怖を顔を滲ませるどころか、笑みを浮かべているではないか。

「フフフ……アハハハハハハ!!その力…そうか…そうだったのか!!アハハハハ♪どおりで…いやたいしたものだよ♪」

そう思ったとき、空に舞っていたガキが消えた。

「だが、調子に乗るのもそこまでだ。あまりこの私を侮辱するとこの場で惨たらしく死ぬ事になるぞ??ソイツに意識を奪われたままな??」

一瞬身の凍るような殺気に満ちた感覚に囚われたかと思えば、いつの間にか接近してきた彼女の瞳が見開かれた俺の瞳と合った。

瞬間、腹部が打ち抜かれた大きな衝撃と共に俺は吹き飛ばされた。

声にならない断末魔。
まるで、強力なショットガンで打ち抜かれたような感覚だ。