第1章 2話 『壊レユク現実』
しかし、それは不完全なモノようで、途中で途切れたり、飛ばされたりと断片的に流れていく。
そして、映像が完全に途切れた時、視界がぼやーっと戻っていき現実に引き戻された。
「………」
…一体何だったんだ?さっきのは?
俺は頭を擦りながらゆっくりと立ち上がる。
さっきまでの頭痛はなく、逆に少しすっきりした感じがしていた。
不意に、光が差し込んだ。
俺の中の闇が晴れていくかのような、光が俺を導くかのような感覚。
さっきまでの異質な感覚は既に消え去っていた。
「…でも、あれは」
さっき俺が見ていた記憶はほんの一部でしかなかったが、俺が見たことも知っている記憶ではなかったのは確かだ。
…今のは一体なんだ??
でも、…何でそんなことを俺は…。
それにあの声は…一体…………くッ!!
思い出そうとするとちくりと頭が痛くなった。
…まぁ、今はそれはいい。
それよりも俺は助けに行かないといけない。あの子を、まどかちゃんを!!
「きっとあそこだな。えーと…あっちは…、あっそうだ!公園だ。ならこっちが近道だな」
何だかわからんが行かないといけない気がした。
この感じ何ていうのかな…例えるなら…そう、誰か、俺を呼んでいるような、そして助けを求めるかのような声がその方向から感じる…気がするんだ。
今の俺には見える。何となく分かってしまう。そんな気がするんだ。
もしかしたら、今俺がするべきこと、そして、俺が守りたいモノがあそこにある。
そう思うと俺は、急いで公園の方に向かった。
<次回へ続く>
作品名:第1章 2話 『壊レユク現実』 作家名:秋月かのん