二人の王女(7)
前回までのあらすじ。
敵国の騎士を仲間に加え、エルグランセの洞窟へと向かうマルグリットらの一行だったが、進路であった森までもが毒に蝕まれていた。
仕方なく遠回りすることになるが、その道で人影を発見する。それは、毒に冒され凄惨に変わり果てた人間の姿だった。
声を掛けようとする王女・マルグリットだったが、突然目の前でその人間が体内から爆発した…
7
新たなる毒は、まるで人の身体を憎むように、内側から人を破壊していく
この世界を神が創りたまい、神は万能の存在だというのならば、
何故に神は世界を蝕み、破壊しようというのか
もはや破壊の首謀者となりたまいし神に、
人の助けを求める叫びは聞こえない…
マルグリットは、シェハの占術により、ほんの一時の防御壁を築き、その身で馬に乗った。
その防御壁がある間は、マルグリットの身体と何者も触れることはない。
マルグリットの馬にはアークが共に乗り、キーチェとゼブラが共に馬に乗ることになった。アークは、毒に晒されたかもしれないマルグリットに恐怖を抱き、二人がその馬を持ち先を行ってしまうのではないかと危惧していたが、それは杞憂であった。二人はマルグリットに忠誠を誓ったアズベリーの騎士のごとく、ぴたりとマルグリットに続いて馬を走らせた。
あすかは、それまでシェハの後ろでその背に掴まっていたのが一転して、自身で馬を走らせていた。シェハはあすかの後ろに乗っている。
防御壁を築く占術を使うためには、一心の集中が必要だった。シェハはひたすらに手に札を持ち、ぶつぶつとあすかにはわからない言葉で呪文のようなものを唱えている。
乗馬の経験などないあすかには、馬を走らせることにとても不安があった。しかし、自身で考えていたよりも、馬に乗ることにあすかは慣れていた。ずっと後ろに乗り、その馬を先導する術を見ていたためか、身体が乗りこなす術を勝手に身につけていたのだ。
一行がようやく崖下の小さな泉についたのは、小一時間ほど経ってからのことだった。
防御壁の占術を解き、マルグリットはシェハに「申し訳なかった」と一言礼を云ってから、「身を清めてくる」と足早に泉の奥へと消えていった。
「シェハ、大丈夫か?」
アークが馬を降り、同じく馬を降りたシェハに歩み寄った。
敵国の騎士を仲間に加え、エルグランセの洞窟へと向かうマルグリットらの一行だったが、進路であった森までもが毒に蝕まれていた。
仕方なく遠回りすることになるが、その道で人影を発見する。それは、毒に冒され凄惨に変わり果てた人間の姿だった。
声を掛けようとする王女・マルグリットだったが、突然目の前でその人間が体内から爆発した…
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新たなる毒は、まるで人の身体を憎むように、内側から人を破壊していく
この世界を神が創りたまい、神は万能の存在だというのならば、
何故に神は世界を蝕み、破壊しようというのか
もはや破壊の首謀者となりたまいし神に、
人の助けを求める叫びは聞こえない…
マルグリットは、シェハの占術により、ほんの一時の防御壁を築き、その身で馬に乗った。
その防御壁がある間は、マルグリットの身体と何者も触れることはない。
マルグリットの馬にはアークが共に乗り、キーチェとゼブラが共に馬に乗ることになった。アークは、毒に晒されたかもしれないマルグリットに恐怖を抱き、二人がその馬を持ち先を行ってしまうのではないかと危惧していたが、それは杞憂であった。二人はマルグリットに忠誠を誓ったアズベリーの騎士のごとく、ぴたりとマルグリットに続いて馬を走らせた。
あすかは、それまでシェハの後ろでその背に掴まっていたのが一転して、自身で馬を走らせていた。シェハはあすかの後ろに乗っている。
防御壁を築く占術を使うためには、一心の集中が必要だった。シェハはひたすらに手に札を持ち、ぶつぶつとあすかにはわからない言葉で呪文のようなものを唱えている。
乗馬の経験などないあすかには、馬を走らせることにとても不安があった。しかし、自身で考えていたよりも、馬に乗ることにあすかは慣れていた。ずっと後ろに乗り、その馬を先導する術を見ていたためか、身体が乗りこなす術を勝手に身につけていたのだ。
一行がようやく崖下の小さな泉についたのは、小一時間ほど経ってからのことだった。
防御壁の占術を解き、マルグリットはシェハに「申し訳なかった」と一言礼を云ってから、「身を清めてくる」と足早に泉の奥へと消えていった。
「シェハ、大丈夫か?」
アークが馬を降り、同じく馬を降りたシェハに歩み寄った。