シュガークロニクルZERO
意外と時間が経ってなかったんだなぁと、私はとりあえずジュジュを最初の冒険に行かせてみることにした。
CMで映ったりするシュガーのアバターはみんなかっこいい装備や可愛い装備で着飾っている。ジュジュにそこまで手間をかけようとは思わないが、とりあえず、1000ポイントで買い揃えたこの宿無しの旅人の様なジュジュの装備だけは何とかしなければならない。
そんなことをふと思った私は、どうせすることもないんだしとシュガークロニクルをはじめだしたのだ。
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惨敗に次ぐ惨敗。
ジュジュの冒険の始まりはなかなか悲惨な結果だった。
そもそもシュガークロニクルはオンラインRPG。ほかのプレイヤーと協力しないとなかなかゲーム進めていくことは困難だ。
[みんなどうやって一緒に冒険にいくんだろう?]
チャットとかもあまりしたことがないし、SNSサイトでももっぱら日記のみ利用している私にとって、一緒に冒険してくれる友達を探すことは困難だった。
フレンド募集の掲示板などもあるけれど、ゲーム慣れしているプレイヤーの中に入っていくというのは、シュガークロニクルを始めたばかりの私にとっては不安が大きかった。
私はとりあえず、これから冒険に行く人達が集まる部屋にジュジュを送り込むことにした。
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この部屋は『コミュニティー』といって、各冒険ごとに設置されていて、これから同じ冒険に出発しようとしている人達が集まる場所だ。
私はさっきから一人で『トロールの森の秘宝』という冒険をやっていたので、とりあえずトロールの森の秘宝のコミュニティーへとジュジュを送り込んだ。
初めてほかのプレイヤーのアバターとの対峙。
[どうしたらいいんだろう]
コミュニティーに突然入室したジュジュにみんなの視線が集まっているように感じて、私は焦りながら、とりあえずひとこと挨拶だけしておこうと思い、キーボードを手早く叩き、チャットのメッセージを送信した。
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「こんにちわ(・_・`)」
何人かの人が「こんばんわ」「ばんわ~」などの挨拶を返してくれたが、ほとんどの人は私の挨拶なんか眼中にないような感じで、各々の仲良しのプレイヤー達とチャットを続けている。
[こんなものか]
もしも突然話題を振られて戸惑ったとしても何も答えなければいい。所詮これはゲームで、ジュジュはその中のいちキャラクターに過ぎないのだから。
私はそんな事を思いながら、コミュニティの中央の方へゆっくりとジュジュを送り込んだ。
(続きはホームページにて)
作品名:シュガークロニクルZERO 作家名:あうる男爵閣下