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アナザーワールドへようこそっ!  第二章  【032】

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  【032】



 今、俺たちの目の前には、左腕に『生徒会長』という赤い腕章をつけた『一人の美少女』が仁王立ちしていた。


 そして、その後ろにいる男子生徒の左腕の腕章には『生徒会』という文字。

 ウワサをすれば…………『生徒会』だった。


「おい、一年っ! 聞こえなかったのか? それとも私を無視しているのかっ?! ほう、良い度胸じゃないか……」


 と、生徒会長さんは自分で勝手に解釈して、腕まくりをして俺たちに近づいてきた。

「ちょ、ちょっと待ってくださいッ! 俺たちはそんな……無視とかしてませんからっ! ちゃんと聞こえてます、聞こえてます」

 俺は、そんな殺気を帯びた生徒会長に、ただただ、ビビって必死に『ちゃんと聞こえてましたアピール』をした。

「そうか? つまらん……。なら、さっさと答えろ」


 うわー、すごいな、この人。

 超・好戦的じゃん。

 こ、これは『特別招待生』なんて言ったら戦いを挑まれかねん。

 ここは、うまくごまかそう。

 まあ、俺の顔を見て、『特別招待生』とわからないってことは、『顔』は知らないってことだろうし、何とかいけるだろう。

 俺は、マルコに『ごまかす』旨の『アイコンタクト』をした。すると、さすがマルコ…………俺のこの『アイコンタクト』の意図をちゃんと理解したようで、すぐに生徒会長へ返答をする。

「すみません、生徒会長。僕ら一年なのですが、その『特別招待生』の人はまだ見たことがありませんので、ちょっとわからないです」
「ふむ……そうか、ならわかった。では、もしみつけたら、二階の生徒会ルームにある『生徒会室』まで一報くれ、いいな?」
「わかりました……ご苦労様です」
「うむ。よし、では、他を当たるぞっ!」

 そう言うと、すぐさま生徒会長は動き出し、部下らしき三人の男子生徒も後を追った。見ると、他の一年の生徒へ今の感じでどんどん声を掛けている。


『学生寮』からはとりあえず離れたほうがいいな……。


 そう思った俺たちは、いったん寮から外へ出た。

 すると、ちょうど入口のほうにシーナとアイリをみつけた。


「おーい、シーナー、アイリーッ!」


 俺は、今の一件をシーナに報告しようと思い、二人に声を掛けた…………が、シーナとアイリも同じ目的だったようで、

「お兄ちゃん、今ね、女子寮のほうで生徒会の人たちが『特別招待生』を探し回っていたんだけど…………もしかして、そっちも来た?」
「……ああ、男子寮(こっち)も同じだ。ちなみに、こっちは『生徒会長』が直々に探し回っていたけどな…………なんか、おっかない人だったよ」
「ええっ?! せ、生徒会長っ!?」

 アイリが『生徒会長』に反応した。

 すると、俺の横にいたマルコが、

「ハヤト様……さっきお会いした彼女が、この王立中央魔法アカデミー(セントラル)で大きな権力を持つ『生徒会』トップの『生徒会長』で、名前は…………『ヴィクトリア・クライフィールド』。『風属性の名門貴族・クライフィールド家』の『次期当主』と、この年ですでに目されている人物です」

 と、マルコは少し顔を渋らせながら説明する。

 すると、それに続いてアイリが、

「ちなみにハヤト、その生徒会長…………実はまだ『二年生』だから」
「「ええっ……!? に、二年生?!」」

 俺とシーナが一緒に驚く。

 そして、アイリの後から今度はマルコが、

「はい。彼女は去年、『他薦』で『生徒会長選挙』に立候補して、それで見事当選しました」
「他薦……? それってつまり、本人が自ら立候補したんじゃなく、他の人からの推薦で立候補して当選したってこと?」
「そうです。しかもこの『他薦』の時点で、同級生だけじゃなく上級生を含めたほとんどの人たちが彼女を推薦したので、選挙をする前からほとんど『当選確実』という状況だったようです」
「ほ、本当かよ……それってすごいな。まあ、すごいって言えば、お前のその情報量もだけど」
「い、いやあ、そんな~……」

 隼人に褒められて、少し照れるマルコ。

「本当だよ。わたしもそれなりに学校(アカデミー)の知識は持っているつもりだけど、今の『他薦の話』は知らなかったよ……マルコ、すごいね」

 と、アイリからもお褒めの言葉を頂く。

 そして、トドメは……、


「マルコさん、すごいっ! こんな人がわたしのファンクラブの代表さんだなんて…………わたし、すごくうれしいですっ!」


 と、シーナからの『称賛爆弾』が炸裂し、

「シ、シーナ様から、そんなお褒めのお言葉を頂くなんて…………わたくし、これまで生きてて本当良かったですーーーっ!」

 と、マルコはご満悦の表情を浮かべ、その場で一人、恍惚感に酔いしれていた。

 シーナ…………この悪女め。


 すると、そんな恍惚状態からマルコは舞い戻ると、

「あっ! しまったっ! わたくし、この後、人と会う約束があったのですがすっかり忘れてました。すみません、ハヤト様、せっかくこれからいろいろと学校(アカデミー)のこと教えるつもりだったんですけど…………」

 と、マルコは慌てて俺にそう言うと、申し訳無さそうな顔をしていた。

 どうやら、この後、『人と会う約束』があったのをすっかり忘れていたらしい。

「いいよ、いいよ、気にすんなよ、マルコ。ちょうど俺たちも、この後、三人で今後の『生徒会対策』の話もしなきゃいけなくなったからさ。お前も用事済ませて来なよ」

 俺は、マルコが気を遣わないような言い方をし、マルコを送り出した。

「ありがとうございます、ハヤト様。では、ちょっといってきます。シーナ様、アイリさん、では、わたくしはこの辺で」

 と、シーナやアイリにも声を掛ける。

「うん、わかった……。あっ! あと、マルコ……今度、わたしとと情報交換しない? わたしの情報もいろいろと教えるからさ、だから、ねっ?」

 アイリは、マルコに『情報共有』の打診をした。

「わかりました。わたくしでよければいつでも……」
「やったーっ! ありがとう、マルコ!」

 マルコはアイリの打診を二つ返事で答える。

 本当、良い奴だな。

「マルコさん、お兄ちゃんをよろしくお願いします。少し頼りないところがあるので力になってください……」

 と、シーナがマルコにリクエストする。

「は、はいっ! わたくしマルコ・デルフォード……ハヤト様を全力でサポートさせていただきますっ! あと、シーナ様も全力でファンクラブ代表としてサポートさせていただきますっ!」

 マルコ、全力でシーナのリクエストに即答する。

 うーむ……おそるべし、わが妹。


「では、これで……」

 と言うと、マルコは校門のほうへと走っていった。

『人と会う約束は外での約束なのかな?』……と、マルコを見ながら、ふと思った。


「ちょっと……シーナ、あんた、すごいね」
「んっ? 何が?」
「何が……って、マルコのことよ」
「ああ……だって思っていたよりもすごく良い人そうだし、ちょっと……かわいいじゃない?」

 と、シーナ。


 ほ、本当かよ?