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森の中の棲みか

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5人のうちの一人がカメラを取り出しました。

荷物はまとめて隅によせて辺りを見回しておりました。

カメラを手に持った真奈美は「皆でここで写しましょうよ」と言いました。

「そうね!」4人は蔦の絡まった大きな木の前に並びました。

真奈美は三脚にカメラを載せてセットをすると皆のところにかけ寄りました。

(カシャッ)もう一度(カシャッ)

真奈美のカメラの中に裕子と愛と広子と憂そして、真奈美も写りました。

5人は夫々カメラを持参しておりました。

夫々がシャッターを押して森の美しい景色を撮りだしました。

荷物は一つ場所に置いたまま、あちらこちらと写しておりました。

そして、時にはお互いを撮り合っておりました。

「もう少しで写真を写すの忘れるところだったわ」と憂は言いました。

「そうね 景色に見惚れてうっかりしていたわ」と広子が言いました。

アカタマ愛ちゃんとアカシマ憂ちゃんとアボタマ広ちゃんは

その様子をじーっと見ておりました。

珍しくてしかたがなかったのです。

ここは深い深い森の中です。

深い深い森の中には滅多に人が入って来ませんでした。

でも、5人は大きすぎて時々、足元しか見えませんでした。

「楽しそうね」アカタマ愛ちゃんが言いました。
作品名:森の中の棲みか 作家名:天田昇