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森の中の棲みか

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足が10本こちらに近づいて来ます。

裕子と広子と真奈美と愛と憂の5人は立ち止まりました。

そして、5人は一斉にしゃがみ込んでアカタマ愛ちゃんとアカシマ憂ちゃんとアボタマ広くんに顔を近づけて見ています。

5人は交互にあちらに行ったりこちらに行っては立ったりしゃがんだりしています。

そして、「ガシャッ ガシャッ」と写真を撮り始めました。

5人一斉にあちらからもこちらからも「ガシャッガシャッ」と写真の中に納めています。

「熱いよ 明るいよ」とアカタマ愛ちゃんは言いました。

「眩しいよ あの光りは何だい?」とアボタマ広くんも言いました。

「近づかないでえ」とアカシマ憂ちゃんも叫びました。

そして、裕子が木の根っこに突っかかり転びそうになりました。

「ああっ ふーっ」裕子もアカタマ愛ちゃんも同時に声に出しました。

「ふふっ」アカシマ憂ちゃんは笑いました。

「危なかったね」とアボタマ広くんは言いました。

「それにしてもこの(きのこ)は綺麗だわ こんなの始めてみたわ」と真奈美は珍しそうに覗きこんでおります。

「そうね 大きい帽子や縞々の帽子なんて珍しいわね」と広子も言いました。

「少し離れて撮って見ましょうね」と愛ちゃんは後ずさりしました。

きのこ全体が写るようにそして回りの景色も写るようにピンとを合わせます。

「あらっ」と愛ちゃん 不思議そうにアカタマ愛ちゃんに近づいて来ました。

「この赤い傘の水玉模様のきのこは私の持っている傘によく似ているわ」と見つめておりました。

「あーっ恥ずかしい」アカタマ愛ちゃんは俯きました。

「さあ!写真も撮ったことだしそろそろ帰ろうか」

と、真奈美は皆に声をかけました。
作品名:森の中の棲みか 作家名:天田昇