ゾディアック 11
天使の声が・・
「 このクソオヤジ!!ユシュリは悪くない!全部おまえのせいだろうがーー!! 」
私は泣きながら、渾身の力を籠めて親父の胸ぐらを掴んで叫んだ。
「 何だと―!?親に向かっておまえはー!! 」親父は怒鳴り、今度は私に掴み掛かって来た。
『 人のエネルギーが、替わる所を見なさい・・
同じ人間でも・・ 突然 入れ替わります。
風が変わるのと同じように・・ 』
ずっと・・ 呼霊していた
ミツコが物陰から、私と親父の取っ組み合いを、目を細めてじっと見つめていた。
その背後には、金髪の少女が立って笑っていた。
クスクス・・ クスクス・・
「 相対に答えなんか無いんだ・・ 」
私は呟き、気が付くと壁に縋って闇の中に座り込んでいた。
私の身体は、ボロボロに傷つき 至る所から血が流れていた。
私の唇の血を拭いながら、ヤツが現れて言った。
「 そうさ、相対のマインドに映る鏡には、映り込む全ての像に訳がある 」
光が色に分かれて、生まれて来た ――――
「 私の訳も・・ ミツコの訳も・・ 全ての・・人間に? 」
私の目の前に膝を立てて座り込むルシフェルに聞いた。
「 そうだ 」
ヤツは私に顔を近付けて答えた。
私はヤツの顔に 指で触れながら言った。
「 あんたは・・ 私じゃ無かったのか? 」
「 おまえが、私の一部の・・鏡像だ 」ルシフェルは答えた。
「 そっか・・ 私が、あんたの知りたかった人間のマインドの一部か 」
私は可笑しくなって笑った。
「 人間やってると、これが自分の全てだと思い込んじまう・・クックッ 」
アイが いつも あなたと共に ・・
あなたが いつもアイと共に ・・
「 アイが・・ 状態の光の本体で、あなたが・・
この瞳の鏡に映った、この世界で感じる私という一部だった 」
私はうつむいたまま、目を閉じて言った。
ヤツは、もう何も答えなかった。
ザ ―――――・・
しばらくして目を開けると、
暗い砂漠が広がる・・ 吹き荒ぶ砂嵐の中に ただ1人
私は、大きな石の椅子に腰かけていた。
リンガー・・ リンガー・・ リンガー・・
リンガー・・ リンガー・・ リンガー・・
手や足や・・頭や顔も・・身体中が 赤い砂に覆われていく
もうどれ位 ここに座っているのだろう
私は もう一度目を閉じた。
砂塵は舞い上がる、高く雲の彼方へ
遥かな星を越えて 遠く
時の果てより呼びかける。
アイシテル・・ アイシテル・・
私はいつも アイをシテイル