愛を抱いて 24
この頃は洗濯にも来ないけど、どうしてるの?
洗濯物。」
「なにぶん、生活が不規則で、来れないんだ…。
溜まって、仕方ないから、下着は使い捨て…。」
「まあ、勿体ない…!
洗いなさいよ。
いったい、どこへ捨ててるの?」
「銭湯へ…、捨てて来るんだ…。
…!」
「ゆっくり食べて。
時間は大丈夫だから…。
それから、洗濯機を使いに来てね。
幾ら夜遅くても、私は構わないから…。」
「鉄兵は私の事、疑ってるみたいだけど、私は香織にも他の誰にも、黙っておくつもりよ。
信用して欲しいな…。」
「ああ、解ってるよ。
信用してる。」
「女同士の関係って、難しい処があるのよ。
世樹子と私はね、クラスが一緒になったのは高校3年の時だけど、1年の頃から、ちょっとした事で知り合って、口を訊く仲だったの。
彼女、前は私の事、『フー子』って呼び捨てで呼んでたのよ。
でも、香織をどうしても呼び捨てにできないからって、3人でよく逢う様になってから、私は『フー子ちゃん』に格上げになったの。
こんな事、男のあなたには、よく解らないでしょうね…。」
「うん、よく解らないけど、二人が昔から仲良かった事は解る。
柳沢が、いけないんだ。
俺が君の存在を初めて知った時、柳沢は君の事を『香織の友達』って云ったんだ…。」
「あら、それは嘘じゃないわよ…。」
フー子は手を振ると、中野通りの方へ歩いて行った。
〈四九、心のままに〉