終わらないうた
当て逃げ
当て逃げされました。
車はべっこりとへっこんで、危うくわたしの心もべっこりするところでした。
けれど、ただでさえこんな欲しくもない嫌な事をもらってしまったのに、悲しみは貰いたくありませんでした。
逃げた人のせいで怒りの嫌な気持ちも味わいたくありませんでした。
修理代で買えたであろうあれやこれを考え出すと、悲しくなりかけたので、意識を離し、私はうんと自分に優しくしました。
周りの人がとても優しくしてくれました。
なんて嬉しい日でしょう。
私の心は雲一つない青空のように晴れ渡り、いつにもまして上機嫌です。
生きていると予期せぬ不幸が身に降りかかってきます。そんな時の合い言葉。
「もう終わったこと」
悪いことも終われば過ぎ去ってゆくもの。嫌な気持ちを側に置くのか、遠く意識の端へと飛ばすのかは選ぶことができるのです。幸せな気持ちであることを選ぶことができるのです。
人生は短いから。いつの日かこの身に起きた悪い事を平然と思い返す日がくるのなら、出来るだけ早く苦しみを手放すとしましょう。
作品名:終わらないうた 作家名:BhakticKarna