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終わらないうた

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真っ暗闇の中


 真っ暗闇
 目の前が真っ黒で何も見えないここはどこ?
 私は真っ暗闇の中にぽかんと浮かんでいるの?
 とにかく 何かに触れたいわ
 右に触れるものを感じれば
 私は何かの左にいると分かるのだし
 下に触れるものを感じれば私は何かの上にいると分かるわ
 気持ちばかり焦るのに何もないわ 何もない
 そもそも 私には触れるための手や足はあるのかしら
 早く何かに触れたいわ
 だってさっきからもがいてるつもりだけど
 自分の体にさえ触れられないのよ
 自分がどんな姿をしているかも分からない

 声がする
 どこかから声が聞こえるわ
 「…君の背中には綺麗な白い羽が生えているよ。天使のように美しい。」
 まあ なんてこと!
 また どこかから声がするわ
 「…君の背中には黒く汚い羽が生えているよ。恐ろしい悪魔のように醜い。」
 まあ なんてこと!
 どっちが本当?
 どっちが真実?
 私はどちらを信じればいいの
 けれどここは真っ暗闇よ
 どうやって彼らは私の姿を見たの
 全て幻想よ
 全て幻想よ
 私は自分に生えた美しい白い羽を思い浮かべて心酔したりしないわ
 美しい白い羽を見たと言った彼に心酔するわ
 私は自分に生えた黒く醜い羽を思い浮かべて嘆き悲しんだりしないわ
 恐ろしい黒い羽を見たといった彼のために泣くわ
 ここは真っ暗闇
 周りから感じ取るものでしか自分を知ることの出来ぬ場所
 だけどここは真っ暗闇

 歌を歌うのが好きだった
 誰に聞かせるわけでもなく一人歌っていたけれど
 もしもこのままここに永遠に一人きりなら一人練習してみたって全く虚しいわ
 私はどこかで期待していたのね聞かせる誰かを想って歌っていたのよ
 こんな暗闇の中で一人全く全く虚しいわ
 何かをしてみたって一人
 自分だけのために生きてみたってそれがなんだというの 全く虚しいわ
 暗闇で真っ黒の中に一人 
 このまま何かに触れないと私がここにいるのかいないのかも もう分からなくなるわ
 虚無に飛び散ってしまう
 誰かに触れたい
 そうしたら私がここにいることが分かるもの
 私が触れた誰かもそこにいるとわかるでしょう
 それが叶ったら私は喜びに泣くわ
 その時私にはここにいる意味ができ
 その時誰かにはそこにいる意味ができる
 ただ触れ合うだけで意味ができるのよ

 ここは真っ暗闇
 恐ろしい 全くの一人きり
 何も見えないわ 何も分からない
 ただ確かに分かるのはあなたを想うと暖かい
 それだけ
 ただそれだけが確かだと分かるのよ
 
作品名:終わらないうた 作家名:BhakticKarna