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海野ごはん
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novelistID. 29750
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永遠の遠距離恋愛

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3日目は昨日のデジャブのように過ごす。どこに行ってもそばに彼がいて、彼の笑顔があり、彼の言葉が私をくすぐる。
遊覧船に乗り、景勝地をめぐり、来た道を引き返す。いろんな事をしているのに時間があっという間に過ぎてゆく。いつまでもこの時間は永遠でいて欲しいと思うが、永遠はない事を知っている。
唯一残るものは二人の写った写真ぐらいか・・・・そして記憶か・・・。


最後の夜、彼は旅館の浴衣で私の手首を縛った。和室の布団はめくれ上がり、ちょっとしたSMの部屋のようだった。
きつく縛ったりしてないから私は解こうと思えば解けるのだが、あえてされるがままでいた。そして私も期待していた。
非日常の行動はエンドルフィンの脳内麻薬を呼び覚ます。そして、今夜を最後にしばらく会えないのかと思うと、私はますます彼からのされるがままの行動に身を悶えさせる。私は私を愛しく思った。


四日目の朝が来た。大きな窓の外は広い朝焼けの海だった。波静かな中で小船が一隻網を引いている。穏やかな海と同じように私の心も満たされていた。心残りは今回の旅が終わってしまうことだ。だけどしょうがない。次の快感の為にもここは我慢するほうがいいのだ。
遠距離恋愛だからこそ、こんな出会いが出来る。ちょっとした障害が二人を燃え上がらせるというのはロミオとジュリエット症候群と呼ぶのを聞いたことがある。あ~ロミオ様・・・なんて彼じゃないけど私にとっては大事な恋人。
寝ている彼のそばに歩み寄り、私は彼の手首を取りそばにあった浴衣の紐で縛った。そしてあまった紐を自分の手首に巻き二人繋がった。赤い糸の伝説じゃなく、浴衣の紐の繋がりだ。笑ってしまうけどこれくらいがちょうどいい。私は立ち上がり繋がれた彼の紐を思いっきり引っ張った。
「起きろぉ~~!朝だぞ~~!帰る日だぞぉ~!」



(完)

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作品名:永遠の遠距離恋愛 作家名:海野ごはん