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海野ごはん
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novelistID. 29750
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永遠の遠距離恋愛

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永遠の遠距離恋愛





「噛んで・・・」女性みたいな口調で言ったのは、裸の私の下にいる遠距離恋愛をしている彼だった。
私は言われた通り彼の広い胸をよじ登り、綺麗な曲線をした首筋に歯を立てた。若さを保つ彼の艶のある肌は、果物や野菜の様にさくりと噛めるものでなく何か柔らかいゴムまりを噛んでる気がした。
「もっと強く・・・」
促されて私はゴムまりが破裂するかどうかの力で歯を食い込ませた。これがオレンジならきっと中から甘酸っぱい香りを放つ果汁を飛び出させていたくらいの力だった。
「痛っ!」
「ごめん、強かった?」
「いや、いいんだ。痛い方が生きてる感じがする」
「な~に・・・・?生きてるでしょ。そんな言い方したら切なくなるわ」
私は彼の広い胸に耳を当て鼓動を聞いた。いや、甘えたくなった。ぬくもりのある柔らかい肌の下には、メトロノームのような規則正しい彼のリズムが刻まれていた。


遠距離恋愛の彼と再会したのは数時間前だった。雨の空港で落ち合って、久しぶりのハグもせず車を飛ばし、海のそばの温泉街のホテルに到着した。1ヶ月前からメールで旅をしようと交わした約束の一日めが今日だった。
2年ぶりの彼は全然変わっていなかった。空白の時間がなかったかのように馴れ馴れしく、いつも会う恋人のように私のそばにすんなりくっついて来た。彼の特技なのか私の許容力の大きさなのか、2年も会わない遠距離恋愛のわりには凄悲感もなく、二人にとって当たり前の時間の使い方のような気がした。

「この前、会ったのは夏だったかな。ホテルは覚えてるけど街は歩き廻らなかったから季節がうろ覚えだ」彼が胸の上にいる私に聞いてきた。
「いつもホテルが多いからね。その前は覚えてる?」
「えっと・・・どこだっけ。確かその一年前だよな・・・あ~京都だ」
彼はちゃんと覚えていてくれた。まあ、今日で数えられるだけの出会いなのだから忘れていて貰っては困る。
3年前にネットで知り合った彼とは頻繁なメールのやり取りの末、恋愛ごっこのように京都で会おうとなった経緯がある。
私はちょうどその頃、長く付き合っていた別の男と別れようとしていた時だった。新しい男に乗り換えたら、新しい人生が来るんじゃないのだろうかと思って今の彼の誘いに乗った。
元彼とは不倫だった。
私が別の男と結婚してもまだ関係は続き、いわゆるW不倫でどろどろの関係を続けていた。私は良心が痛み、何の問題もない夫と別れ結婚生活を終えた。そして、また元の不倫状態に戻っていったのだ。

しかし、愛情とは続かないものらしい、元彼の私に対する扱いが理不尽なものに思えて、私の彼に対する長年の愛情は軋み出した。そして新しい人生を送りたくなった時に今の彼が現れたのだ。そして元彼と縁を切った。



作品名:永遠の遠距離恋愛 作家名:海野ごはん