ミステリー短編集 百目鬼 学( どうめき がく )
パチパチパチ……。
「中らずと雖も遠からず、新聞記事より面白いよ」
百目鬼が笑ってる。
「ちょっと―、からかわないでくださいよ」
ムカッときた芹凛、「だけど、なぜ黒界と嫁姫はこんな痴話的で、いずれバレるような殺め方をしたのでしょうね」と小首を傾げる。
これに百目鬼は鬼の目をギョロッと剥いて、天に向かって言葉するのだった。
「神よ許し給え、この俗界では――男の嫉妬に、女の嫉妬が絡む時……、愛憎物語風な殺人事件が起こるものなのです。さっ芹凛、捕まえに行くぞ!」
作品名:ミステリー短編集 百目鬼 学( どうめき がく ) 作家名:鮎風 遊