ミステリー短編集 百目鬼 学( どうめき がく )
ここまで一気に語った芹凛、それは未だ想像の域を超えられず、自信がない。
そんな芹凛に百目鬼が吐く。「彼女たちは文芸仲間、小説を書いてたんだろ。ならば小説には、作者が見聞きしたことが必ずどこかに書かれてあるものだよ」と。
これを耳にすると同時に、芹凛は席を蹴った。そして30分後、亜瑠の投稿ミステリー作品に、うっかりと記述してしまったと思われる一文を見つけ出してきた。
「ここにありました! 男は女を刺し、そのナイフを紅梅の下に埋めた、と」
これを耳にした百目鬼刑事、鬼の目をギョロッと剥く。
「ヨッシャ、あいうえおの館の玄関にある紅梅、今が見頃だ。悪魔の所業の終わりに、オサム自身は亜瑠に殺され、伊吹の当選金は総盗りされてしまうだろう。芹凛、そうなる前に、証拠品のナイフを掘り起こしに行くぞ!」
作品名:ミステリー短編集 百目鬼 学( どうめき がく ) 作家名:鮎風 遊