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着物と私

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着付けの練習を楽しむ



 着付けを習いに行かずに着られるようになろうと思い、着付けの本をあれこれ探してみて、大久保信子さんの「着付けのヒミツ」というDVDつきの本を買ってみました。
 この本が、いわゆる正統派の着付けとはほんの少し違うのですが、初心者にも着やすい方法をわかりやすく載せてあり、私には合っている感じでした。

 まず、補正をしすぎないことを提唱していて、それが気に入りました。結婚式などに出席するとき、美容院で着付けを頼むと、すごくたくさんタオルを入れたりして補正をして、帯などもきつく締めて、「着物って大変!」という印象があるかと思います。でも、この本にしたがって自分で着られるようになると、補正はほとんどしないで、帯も自分の好きな締め具合に調整できるので、着ていて楽な状態になるというわけで、苦しくなければ着る機会も増えるのではないかと思い、この本で勉強することに決めました。

 最初はどうしても「おはしょり」がモコモコになってしまったり、衿がうまく決まらなかったり、着るのにも1時間半ぐらいかかって、帯なんかもうボロボロという感じで、先が思いやられました。
 そんなスタートではありましたが、呉服屋の祖母に電話をして相談して、何とか少しずつ改善し、まあまあの状態に持っていくことができるようになって来ました。ただ、時間とともに着崩れたりするので、着物を着て外出というのはかなり難しい状況でした。
 いずれは着物を着て旅行に出かけるぐらいになりたいと思っていたので、夫が仕事に出ている日中に何度も練習しました。着ているうちに衿が詰まってしまったり、おはしょりがうまく決まらなかったり、帯結びが上手くいかなかったりして、5回に1回ぐらいしか納得のいく着付けができませんでした。

 そんな感じで2009年の秋からスタートした独学の着付けですが、年が明けて2010年になると、何とか数時間は着崩れを最小限に抑えた状態を保てる感じになってきました。着付けの練習の時には祖母が本当によく悩みを聞いてくれて、私が着物に興味を持ったことが本当に嬉しいと喜んでくれました。母は祖母のことをいろいろ悪く言っていたことがありましたが、今から思えば、お互いが誤解していたりして、歩み寄るということをしなかったのが原因なのではないかと感じます。

 私が着付けの練習に夢中になっていた頃、実家から大きな荷物が届きました。そこに入っていたのは、たくさんの着物や帯、ショールなどでした。驚いて実家に電話をしてみると、父方の叔母が若い頃に着ていた着物を譲ってくれるということでした。処分しようかと思っていたものがあって、でも私が着るようなら着て欲しいと考えたようです。そのほかに母の着物も入っていて、いきなり「衣装持ち」になってしまった私でした。

 母の着物の中に、とても素敵な大島紬があったのですが、仕付けがついたままで着た形跡がない割に、裏地が変色して大変なことになっていました。サイズも私よりもずいぶん小さいし、思い切って仕立て直しを依頼することにしました。そのほかには、オフホワイトの地色の、小菊柄の小紋などがあり、私好みでとてもいい感じでした。それで、気に入った順に少しずつ仕立て直して着ることにしました。仕立て直しは安くはないので、年に1枚か、多くて2枚ぐらいに抑えたいところです。長い目で見て少しずつ直していき、おばあちゃんになっても着物を着るようにしようと決めました。

 このあとは、いよいよ着物デビューの話に移ります。
作品名:着物と私 作家名:綾花