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みやこたまち
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novelistID. 50004
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不世出の水中舞踏家 水上定落創作伝

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S :私の舞踏は、テレビカメラではその全てを写すことは出来ません。ただの水槽がどのように素晴らしい世界を作り出すのかを、その目でお確かめになっていただきたい。こんなことを関東大震災直後にやっていた馬鹿がいて、現代にも再びその馬鹿がいるということを、知って、見ていただきたいと思います。
M :三代目水上定洛氏の水中劇は、奇跡です。私はこの目で見ました。見た人だけが今回のインタビューの価値を分かるのではないかと、私は思います。第三回目のゲスト、三代目水上定洛さんでした。どうもお疲れのところ、ありがとうございました。
M :おそれいります。どうもありがとうございました。



AFTER MINUTE
 『不世出の舞踏家ー水上定洛創作伝ー』の中で、衣笠貞之助監督の映画「狂った一頁」についての記述がある。舞踏を披露する舞台がなく、悲嘆に暮れる初代が出演した唯一の映画としてだ。だが、私は何度見返しても画面に初代の姿を見出すことができなかった。初代水上定洛。彼の活動はこの伝記以外全く記録が残っていない。それは複雑なカットを施したシリンダーの中で演じる水上宗悦の姿が幻と消え去ってしまったかのような、非現実的な消失であった。もしかしたら、初代は存在しないのではないだろうか。ただ、伝記があるだけで。だが、そんな伝記に惹かれた若者が三代目として今、伝説を現実としているのである。我々が奇跡を眼にする機会は多くは無いが、伝説を継ぐ三代目の舞踏を見ることが現代の奇跡の目撃者となることなのだ。
 初代は世界風邪と呼ばれた感冒に置かされてこの世を去ったといわれている。過酷な表現を選択した三代目が、末永く活動し、さらなる継承者の現れる事を、私は心の底から願っている。